経営・戦略

2024.02.07 08:30

堀江貴文が拠点に、JAXAも注目 ロケット射場のある町「北海道大樹町」とは

宇宙がもっと身近になる、大樹町のこれから


官民でさまざまな企業や団体と協力し、宇宙の町としての歩みを進める大樹町。今後はどのような展望や期待を抱いているのか、黒川さんに聞いてみた。

「スペースプレーン(宇宙往還機)の離発着場などのPRをしています。宇宙旅行の話でいくと、たとえばアメリカのヴァージン・ギャラクティック社は、商業宇宙旅行の実用に向かっています。こうした技術は、スペースプレーンが発射したところに戻ってくるのではなく、違う場所に着陸してそのまま旅行できるようにもなるはずです。受け入れの空港を作る必要はありますが、(ほかの場所から発射したスペースシャトルが)大樹町に降りてくるということもありえるでしょう」(黒川さん)

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宇宙事業の可能性はまだまだ未知数。日本はもちろんだが、国際的な宇宙開発からも目が離せない。

「宇宙開発は国が主体となって進められてきました。そこに民間企業が参入することによって、いろいろなアイデアが出てきているんです。流れ星を作ろうとしたり、宇宙デブリというゴミを回収しようとしたり、あるいはスターリンクなど、アイデアがどんどん広がっています。これからどんな宇宙利用が出るかわからないですね」(黒川さん)

大樹町に拠点を持つISTも、民間企業ならではのこんな想いを抱いているそう。

「ISTでは、誰もが宇宙に手が届く未来を作ることを目的としています。ですから、ISTが開発したロケットを他人のロケットのように見られたくないんです。要するに、ロケットに関係している人を増やしたい。そこで『ロケットエンジンのばくはつのかけら』を、大樹町のふるさと納税返礼品として出品しています」(小林さん)

『ロケットエンジンのばくはつのかけら』は、MOMOの燃焼実験中の爆発で生まれた、ロケットエンジンのグラファイト製のかけら。ロケット開発の努力とチャレンジの結晶ともいえる返礼品だ。このほか、ISTは工場や発射場見学も返礼品として出品。ロケット開発の現場をオープンにしつつ、ZERO開発・製造の資金集めとしてふるさと納税を活用している。

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「自分がお金を出したロケットが打ち上がるんだと思うと、打ち上げに対するドキドキ感が変わってくると思うんです。そういう当事者感を味わっていただきたいと考え、ふるさと納税に出品しました。見学に来ていただければ、ロケット工場もいわゆる町工場と変わらないことを実感していただけるはず。ロケットって特殊なものに思われがちなのですが、ものづくりなんですよ」(小林さん)

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大樹町に来てくれる企業と、お互いにwin-winになれるように一緒にやらせてもらっていきたいですね。宇宙の町ということで、今後は宇宙に関する学びや体験も商品化しようと考えています。そういった取組で関係人口が増えるなど、町や地域のためになる効果へとつなげていきたいと考えています」(黒川さん)

農業と漁業が町の基幹であることを大切にしつつ、宇宙事業も加え、新しい循環が始まりだした大樹町。宇宙開発を手がける企業や団体がもっと増えれば、大樹町でさらに多くの実験が成功するかもしれない。宇宙をもっと身近に感じてみたい人は、大樹町を訪れてチャレンジの輪に加わってみてはいかがだろう。

大樹町

インターステラーテクノロジズ

文=鈴木舞

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