経営・戦略

2024.02.07 08:30

堀江貴文が拠点に、JAXAも注目 ロケット射場のある町「北海道大樹町」とは

宇宙開発で町の課題解決と活性化を図る


大樹町が宇宙の町として可能性をどんどん広げてきたのを、その目で見てきた黒川さん。「大樹町ではこれからも一貫して、宇宙事業の取り組みを継続していきたい」と語る。特に民間企業を誘致して宇宙事業を進めることには、大きな意義を感じているのだそう。

「日本でも、民間企業によるロケット打ち上げに関する法律が用意されました。宇宙が産業になってきていますので、産業集積を考えていきたいですね。大樹町で打ち上げたロケットを衛星軌道に乗せられるようになれば、関連企業が大樹町に来るでしょうし、町の知名度も上がります。いろいろなチャンスが生まれ、町が活性化していく可能性があるということです。もちろん大樹町の農業・漁業というのを大事にしながら、宇宙産業も活性化することを目指したいですね」(黒川さん)

大樹町では、人口減少が長らく町の課題だったという。「少子高齢化の過疎地で人口が減っている」と黒川さんが語るように、昭和20年代・30年代には町の人口が1万人を超えることもあったが、昭和40年頃から減少傾向に。平成になると、ピークの半分程の5千人台にまで減っていた。

「ISTが大樹町に工場を作り、たくさんの人たちが働いています。町内で暮らしている方も多いです。そうしたことによって、消費の面もですけども、人口減少を食い止めてくれています。令和4年末には大樹町の人口が若干プラスになり、画期的でした。ISTはこの町を活性化するためにいろいろなアイデアも出してくれています。実際にISTの呼びかけで、大樹町にパン屋さんや飲食店などができていて、まちづくりに貢献してくれました」(黒川さん)

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宇宙の町として大樹町が注目されることが、町の課題解決につながる。さらに黒川さんが目指すのは、大樹町の活性化だけではない。より広い地域、国のことまで視野に入れているそう。

「JAXAが大樹町に施設を整備し、実験や研究をされています。そういった部分で人との繋がりができました。研究者に来ていただくことで、日本の宇宙開発や理工学の研究開発に貢献できているとも考えています。夏場は実験のためにここに来られる人が多く、宿が取れない状況になることもあるんですよ」(黒川さん)

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大樹町が歩んできた宇宙開発の軌跡は、「大樹町宇宙交流センター SORA」内の展示で楽しむことも可能。過去に大樹町で打ち上げられたロケットやISTが開発したMOMOの実物大模型が展示されている。
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文=鈴木舞

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