ミシュラン三つ星レストラン「noma」のDNAを引き継ぐレストラン「INUA」でメニュー開発を担当していた石坂秀威もジョインした。石坂は、アオノリを発酵させてつくった醤油や、牛乳を合わせて加熱したアオノリミルクからつくったアイスなど、粋にとどまらない調味料やメニューを生み出している。「日常のなかで海藻の登場頻度が増えなければ、海を豊かにすることもできません。思考停止してしまっていた海藻の食べ方の裾野を広げて多様なニーズを生み、海藻の新しい食文化をつくっていきたい」(友廣)。
今年春、nomaが京都でポップアップレストランをオープンした。そこでは、天然物の収穫量が減っていたもののシーベジタブルが栽培したユミガタオゴノリやトサカノリを使った海藻しゃぶしゃぶを提供。独特の食感や風味は、世界中の食材を食べ尽くしてきたグルメたちの舌をうならせた。
「海藻を食べる文化が一般的ではない海外の人にとって、海藻は未知の食材です。食というアプローチは日本がリードできる分野。新たな食文化を開拓して発信していくのが、僕たちの役割です」(友廣)
はちや・じゅん◎1987年生まれ。高知大学農学部在学中にビジネスプランコンテスト全国大会の文部科学大臣賞・テクノロジー部門大賞を受賞。現在は、全国の海に潜りながら、社内外の多様な研究者たちと海藻の可能性を探究中。