宇宙

2023.09.14 14:00

木星の忘れられた衛星カリスト、最新研究で新たな謎が浮上


論文では、カリストの表面について「比較的温度が低く明るい氷の部分と、比較的温度が高く氷を全く含まないか少ししか含まない暗色の物質の部分とに分かれている」と説明している。

米航空宇宙局(NASA)の木星探査機ガリレオの観測データに基づくと、カリストの内部は、分化していない氷と岩石の混合物となっていると思われる。つまり、内部にはコアやマントルなどの分化した大規模構造は存在しない。

カリストはなぜ注目されないのか?

カーベリー・モーガンによると、その理由はいくつかある。1970年代末にNASAの探査機ボイジャー1号と2号がフライバイ(接近通過)観測を行った際には、表面のクレーターを確認しただけで終わった。

それよりも、木星の衛星のエウロパやガニメデの方が興味深かったのだという。カリストは、他の魅惑的な天体の近くにあるが、謎の多い衛星であり、説明するのが難しいとカーベリー・モーガンは述べている。

近々、木星に向かうNASAの探査機「エウロパ・クリッパー」と、木星系を訪れる欧州宇宙機関(ESA)の氷衛星探査機「JUICE」という二つの探査ミッションが実施される予定だ。JUICEは、カリストを20回以上フライバイ観測する予定で、エウロパ・クリッパーもフライバイを数回実施するようだ。

だが、カリストを理解することは、他の大型氷衛星の探査にとって重要な意味を持ち、JUICEやエウロパ・クリッパーによって得られる観測データを解釈する助けにもなると、カーベリー・モーガンは指摘している。

forbes.com 原文

翻訳=河原稔・編集=遠藤宗生

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