VC

2023.09.14 07:00

ヨーロッパでの投資家面談で見えてきたスタートアップの現状

他にもLP投資家から聞いた話の中で特に興味深かったのが、一部のVCファームがスタートアップの「モメンタム」そのものを実績として多額の運用資産(AUM)を集めているという話です。
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それらのVCの投資先は、毎回アップラウンドで多くの資金を調達してきたスタートアップが多いため、ファンドの数字も魅力的に見えます。

一方で、ティア1のLP投資家の中にはそれらのVCのファンドに対する投資額を減らすか、次ファンドを見送る動きも見られるそうです。

とは言え、勢いのある「ホット」なスタートアップに関わっているおかげでまだネームバリューを保てているVCファームもあり、調達先をティア1からティア2のLP投資家にシフトすることで現時点では資金を確保できています。
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そしてそのティア2のLP投資家は、著名ファンドの出資枠を確保できた(もしくは持分比率を増やせた)と投資委員会に自慢げに報告するという流れです。

VCファームとの強力な関係構築のおかげだと理由付けするかもしれませんが、実際は単にティア1のLP投資家が持分を大量に放出しただけなのです。

また、日本への投資については、確かに以前より関心を持っているものの、まだブラックボックスのように感じられるという意見が共通していました。言葉や文化の違いがどうしても壁になってしまうのでしょう。

Coralの投資先の1社と実際に話したLP投資家からは、魅力的なスタートアップではあるが「日本的すぎる」ためグローバルな競争は難しいと指摘がありました。

また別のLP投資家も、日本への投資に魅力を感じるものの、スタートアップが日本で成功してもグローバルではまったく注目されないため、まずは広く話題になる成功事例がいくつか出てこないことには投資委員会を説得しにくいと話していました。

このように、海外への出張は様々な発見や気づきを得る機会となっています。個人的なレベルでも、今回の出張で「日本と世界の架け橋になること」こそが私にとって最もインパクトをもたらせる役割であると実感し、起業家のパートナーとしてもそれが究極の差別化ポイントになり得ることに気づけました。

今後も国境を超えたネットワークや情報、ビジネスチャンスの流動化に向けて、引き続き投資家とのつながりの強化に取り組んでいければと考えています。

P.S. トップ画像は週末にアルプス山脈をハイキングしたときのものです。私が今まで行った中で、間違いなく最も美しい場所の1つでした。

連載:VCのインサイト
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文=James Riney

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