ビジネス

2023.09.20 07:30

伊藤穰一が提言! AIのレバレッジには想像力と技術系経営者が必要だ

──大学へ新たに入学する学生も、性質が変わってくるということでしょうか。

伊藤:外から加わる人たちで多様性を生むのも重要ですが、学問の縦割りを打ち壊すだけでもすごく多様性は高まるので、そこから始めていきたいと思っています。いままで大学が取り組んできたことや文化を考慮しながら、自分のやり方を取り込んでいきます。

工業大学は手を動かして物をつくる教育が多く、それが強みです。手を動かして物をつくって社会に出していくというのは、さまざまな分野の人たちが一緒に取り組むことができる。海外から研究者や学生に留学してきてもらったり、プロジェクト型で異分野の人たちを混ぜていくなど、スキルや知識を身につけるだけではなく、学び方や学ぶことを少しずつ変えていきます。

──先に理系人材の経営者が不足しているという話がありました。経営を担える人材の育成も視野に入れているのでしょうか。

伊藤:それは絶対にやります。技術系だけど実は経営の才能がある人というのは、千葉工業大学には学生が1万人いますが、そのなかに必ずいます。そういった人たちを見つけて経営者になる道を進むのをちゃんと応援する。手を動かす人たちを育てるのがこの大学でメインで取り組むことになると思いますし、少ない人数ではあると思いますが、意志があってかつ才能がある人は経営者にさせなければいけません。

ChatGPT「影の立役者」

伊藤穰一がそのイノベーション観や、経営に対する姿勢を「面白い」と評する、OpenAIのサム・アルトマンCEO。アルトマンは、最初に創業した位置情報サービス「Loopt」こそ失敗に終わったものの、その後、米屈指のアクセラレータ「Yコンビネータ」の代表を経て現職に就いた。投資家としてAirbnbやストライプにも出資しているアルトマンは常々、「もう十分に稼いだ」と語り、AIでの事業も儲けることが目的ではないと語っている。そして彼は米フォーブスへの取材に「汎用人工知能(AGI)の開発が私のすべての行動の原動力になっている」と話す一方で、技術的発展の観点から核エネルギー開発にも注目。核融合発電企業Helion Energyと、先進的原子炉開発企業Okloに出資している。

OpenAIのサム・アルトマンCEO

OpenAIのサム・アルトマンCEO


デジタルガレージ◎
1995年創業、「価格.com」や「食べログ」を運営するカカクコムや、ブロックチェーン金融サービスを開発するCrypto Garageを傘下にもつ総合テクノロジー企業。投資事業にも注力している。また、共同創業者の伊藤穰一がホストを務めるイベント「THE NEW CONTEXT CONFERENCE」を毎年開催。テクノロジーの潮流についての議論を喚起している。

文=加藤智朗 写真=小田駿一

この記事は 「Forbes JAPAN 2023年9月号」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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