経営・戦略

2023.09.05 12:00

謎解きは思考の入り口 松丸亮吾が描く「考えることを楽しむ」社会

松丸亮吾 写真=帆足宗洋(AVGVST)

仕事の輪郭が見えてきた今、新たなプロジェクトのため、資金調達に奔走することも増えてきた。未知の挑戦も、「勉強づくめの日々ですが、成長する感覚が楽しい」と冷静に笑えるのは、土台に“謎解き力”、松丸流に言い換えると、“考えるのを楽しむ力”があるからだろう。
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リドラの事業は多岐にわたる。テレビ番組の企画のほか、子ども向けの学習ドリルの監修、企業やブランドとのコラボレーション、地域と組んだ街歩き謎解きイベントも手掛ける。ゲーミフィケーションのように、謎解きをフックに、視聴者や消費者のアクションを促したり、ロイヤリティを高めたりしている。

それが、世の中の課題解決にも貢献しうるというのが松丸の考えだ。環境問題、紛争、格差など課題はさまざまあるが、松丸は、より本質的な「いかに自ら考える力を養うか」に特に関心を寄せている。

「小学生のころの成績と将来の成功は直接関係がないのに、そのころに勉強ができないと、考えることが嫌いになり、可能性を閉ざしてしまう。それがすごくもったいない。自ら考えず、受動的に向き合い続けていくと、人生が淡白になり、社会が暗くなってしまうのではないか」
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そんな懸念から、今春に小学生向けのひらめき学習塾リドラボを立ち上げた。「自由な発想を評価すること」で子どもたちの思考力を伸ばしていきたいという。現状は、この手法を義務教育課程で展開するのは難しいが、いずれは学校側にも提供できたらと思い描く。「その先には、“お堅い問題”もみんなで楽しく考えられる社会が実現できるのだと思います」。

最後に、今後の目標を聞くと、「日本に、世界に誇れる謎解き体験をつくりたい」と言う。お手本とするのは、数年前にオランダで訪れた“世界一と称される”脱出ゲーム『THE DOME』だ。

「日本にもよくできている脱出ゲームがありますが、日本語というハードルがあるので外国人には難しい。『THE DOME』は言葉を必要としないうえ、映画のセットのような造りで、音響にもこだわり、機械工学も駆使していました。そんな誰もが楽しめる体験を日本で実現できたらと思います」


松丸亮吾◎1995年千葉県生まれ。東京大学謎解き制作集団の2代目代表としてイベント、テレビなど数々の分野で謎解きブームを起こす。2019年、謎解きクリエイター集団RIDDLERを設立、代表に就任。衣装:カーディガン 19800円、Tシャツ 16500円(ともにシャリーフ/シアン PR 03-6662- 5525)

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