JEPLANには技術があった。だが、技術だけで事業は回らないことも岩元はわかっていた。彼は自著『「捨てない未来」はこのビジネスから生まれる』で「リサイクルをビジネスとして成立させるうえで最も難しいのは、実際のところ技術ではありません。いかに『集める』か、すなわち回収の動線をつくることこそ、最も重要なポイントだった」と語っている。
そこで、岩元と高尾はどうしたか? 「回収」のカギを握る消費者にアンケートを取ることにしたのだ。そして「何を」「どこでリサイクルしたいか」と尋ねたところ、「衣類を」「自分が買った店で」という答えが多かった。そこで、良品計画やイオンリテール、丸井グループなどの協力のもと、回収実験を行うことにした。店頭で行う衣料品回収が店舗の集客や売り上げにどう影響するかを検証したところ、店頭に回収ボックスを設置した店舗のほうが好調だったことが判明。店頭回収をしたほうがもうかることがわかったのだ。
岩元たちは、この動線の回収を可能にした衣料品回収事業に名前をつけてブランド化。12年に始めたプラスティックを回収してリサイクルするプラスティック版のプロジェクトと統合し、前述の「BRING」ブランドに進化させている。
確かに、技術は重要な武器のひとつだ。しかし、ビジネスとしてほかの“リサイクル会社”との差別化の決め手になったのは、この「仕組み」と「ブランド」である。岩元はその「勝ち筋」をこう説明する。「独自技術があるから、この仕組みができました。
とはいえ技術は、仕組みのうちの『カートリッジ』のひとつにすぎません。より大事なのは、採算が合うための仕組みのほう。回収ボックスを置けば集客や売り上げに好影響がある、そう理解してくれた企業が我々のブランドにリサイクル費用を払ってくれているのです」