経営・戦略

2023.08.29 15:00

急なAI登場を歓迎する経営幹部や管理職、しかし苦戦中

安井克至
ローズは、すべての企業機能は「AIプロジェクトに関わります。なぜならAIプロジェクトの中心にあるものはビジネスをこれまでとは異なるやり方で実施するための判断を含むものだからです。法務、人事、財務を考えてみてください」という。「たとえば、AIが導入される以前は、販売プロセスを変えたい場合には、営業がその主導権を握っていましたが、その変革には財務サポートや法務サポート、ITサポートが必要でした」

取締役会と経営者たちは「できるだけ早くAIに対応して、リスクと期待を管理するようトップのITリーダーにプレッシャーをかけている」とトゥライはいう。「結局のところ、先延ばしにしたり、やり方を間違えたりすれば、何百万ドルもの損失を被ることになるだけでなく、間違ったやり方をすれば、自身が消えてしまうことにもなりかねないのです」

しかし、経験豊富なテクノロジーリーダーのサポートがあったとしても、その選択肢には圧倒されかねない。トゥライは「経営者たちは、ビジネスの中核でAIを戦略的に活用する方法に関して、各カテゴリーにおける動きの速さの中で、選択肢に圧倒されています」という。「たとえば、英語でのコード生成には現在約38のソリューションがあり、それぞれに強みと弱みがあります。技術的なメリットで選ぶのは簡単な作業ですが、それを超えて、それが自分たちのニーズにどれだけ適合し、その企業統治、倫理、法的基準にどのように適合するかを見るのは、はるかに困難な作業なのです」と彼は述べる。

たとえば、インターネット上のオープンソースやサンプルコードでトレーニングされた大規模な言語モデルを通して発生する可能性のある法的および責任上の問題について考えてみてほしいとトゥライは警告する。

PwCの著者たちは、経営者たちがAI、または他の技術で成功を収めるためには「より短いタイムラインで具体的な結果を達成するために、ビジネス的成果を最優先に考える必要がある」と推奨している。そして「コスト削減や利益率改善を実現することで、得た利益を再投資し、ビジネスを改革するための足がかりとすること」ができるのだ。

また、研修や採用を通じて人材を獲得することも、幹部とスタッフの両階層で優先される必要がある。トゥライによれば、組織は「AIに特化した人材を雇うため、そしてこの変革に取り組むための適切な予算を求めて奮闘している」と彼はいう。「彼らが採用を検討している人材は多岐にわたります、すべてのAI活動を統括できる最高AI責任者から、特定のユースケースを選び出せる人材、結果を出せる実行リーダー、責任と企業の責任の側面を見る法律および企業統治のメンバーまでです」と彼は述べている。

forbes.com 原文

翻訳=酒匂寛

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