急なAI登場を歓迎する経営幹部や管理職、しかし苦戦中

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経営者やビジネスリーダーたちは常に最新の技術を取り入れるよう促されているが、どこに、またどのように投資をすべきかについての具体的な指導はほとんど受けられていない。しかし、外部市場やユーザーからの期待の高まりから、経営陣には何かをしなければならないという大きな圧力がかかっている。

PwCの調査によれば、10人中約9人の経営者は、新技術への投資のリターンを測定するのが難しいと感じている。2023年8月に509人の経営幹部を対象に実施されたこの調査では「最終的なビジネス成果の目標を見失い、最新の明るく輝くものに誘惑されてしまう」傾向があると結論づけられている。

最近、その「明るく輝くもの」とは、もちろん人工知能(AI)だ。

PwCの調査によると、経営幹部は今後3〜5年間、新技術をビジネスモデルに組み込むことが戦略上の最優先課題であると回答している。過半数の59%が、今後12〜18カ月の間にクラウドや人工知能などの新技術に投資すると回答している。そして半数近く(46%)が生成AIに投資すると答えている。

3分の2以上(67%)が、自社のビジネスモデルをサポートするために生成AIを使用することに同意または強く同意している。興味深いことに、この取り組みはCIO(最高情報責任者)が主導することが期待される一方、CMO(最高マーケティング責任者)の領域内でも同様に期待される。

明らかに、AIは技術担当重役の仕事であると同様に、ビジネス担当重役の仕事になりつつある。デル・テクノロジーズのグローバル最高技術責任者であるジョン・ローズは「AIのリーダーである企業は、事業の一部を変革する無限の機会を創造する現在のAI能力を、最高経営責任者(CEO)まで巻き込むことで戦略を進めています」と述べている。

最近、経営者や管理職は、生成AIによって、少なくともあと数年は直面するとは思っていなかった戦いに突入した。ローズは「経営者や管理者たちは、無限のプロジェクトを実行できるような十分な資金、人材、リソースを有していません。会社に最大のインパクトを与える機会をまず選ばなければならないのです。その決定はビジネスのリーダーシップによって行われなければなりません。価値のある戦いを選ぶ必要があるのです」と彼は付け加える。

コンステレーション・リサーチの主席アナリスト、アンディ・トゥライも「経営幹部はかつてないジレンマ」に直面しているという。「これまでに見たことがない新しい現象である生成型AIの採用の急激な進展が、彼らを慌てさせているのです」と彼はいう。

トゥライは、ほとんどの上級経営者たちは「知識、予算、またはAIを採用するための戦略さえも持たずに不意打ちを受けました。特に生成型AIに対して」と続ける。
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翻訳=酒匂寛

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