太陽系最果ての惑星、海王星では話が違ってくるが、それでもこの巨大氷惑星で起こっていることが、同じ太陽周期と密接に関連しているようだ。
惑星科学者チームが、ハッブル宇宙望遠鏡とハワイのケック天文台で収集された30年分の観測データを詳細に調べて導き出した結論によれば、海王星の雲の増減が、太陽の活動と連動しているという。
海王星が太陽から約48億kmの距離(地球は約1億5000万km)にあり、海王星の空に到達する太陽放射の強さが地球の空の0.1%ほどであるにもかかわらずだ。
海王星の雲
今から34年前、人類史上初となる海王星のクローズアップ画像が、米航空宇宙局(NASA)の探査機ボイジャー2号から送信された。この画像には、メタンを含む大気の上層部にある明るい筋状の雲が写っている。この雲は海王星の季節によって生じるものと、これまでは考えられていた。海王星の公転周期は約165年で、四季はそれぞれ約41年続く。カギとなる証拠が得られたのは2019年。海王星の中緯度域に10年超にわたり存在していた多数の雲が、同年内にすみやかに消散したのだ。
これは、新たな「太陽極大期」の始まりに関連している。太陽の活動が激しくなるこの時期には、太陽磁場がねじれを起こし、表面に現れる黒点の数を増加させ、より強烈な爆発現象を発生させる。
学術誌『Icarus』に掲載された今回の研究論文の主執筆者で、カリフォルニア大学バークレー校の天文学名誉教授イムカ・ダ・パーターは「海王星で雲がどれだけすみやかに消えたかには驚かされた」と話す。「基本的に、雲の活動が数カ月以内に低下するのを確認した」