ある時、リチャードのお母さま(イブ・ブランソン)が誕生日を一人で過ごすということを耳にして。リチャードの誕生日も近かったので彼のお祝いに行く人が多かったのですが、私はイブに声をかけていただき、彼女の元へ行こうと、南仏に向かいました。大切な人の大切な人を大切にするという自然な思いからでした。
若い世代は年配の方と関わることが少なく、どちらかというと避けてしまいがちかもしれません。でも、積極的にコミュニケーションを取ると、思わぬ幸運に恵まれることがあります。私は20代の後半に、マーベル・コミックの「スパイダーマン」「アベンジャーズ」などの漫画原作者であるスタン・リーと親しくなり、お互いの誕生日会を主催するなど娘のようにかわいがってもらいました。ダイバーシティというと人種や性別が連想されがちですが、年代の多様性も重要です。
図らずも「コネクティング ザ ドッツ」が起こる
私のキャリアを振り返ると、日本の商社で働いた後、アメリカに語学留学し、ボランティア活動に勤しみ、ロサンゼルスで映画のプロデュース会社を設立。帰国後に、日本ガストロノミー学会の代表、クールジャパンプロデューサー、フードロスの削減を推進するフードロスバンクの設立など、活動は多岐にわたります。それぞれ継続しているのですが、ジェネラリストよりスペシャリストが重んじられる日本では、ただの怪しい人ですよね(笑)。でも、一見、何の脈略もないように見えて、実はスティーブ・ジョブズが言っていた「コネクティング ザ ドッツ(点と点をつなぐ)」がいろいろなところで起こっています。
例えば、アル・パチーノとの映画の仕事は、ハイチの復興支援活動があったからです。小さなスタートアップであるフードロスバンクが大きなインパクトを与えるために、地球上の半分以上の温暖効果ガスを排出する上位の富裕層をターゲットにする際にも、ラグジュアリーブランドとの繋がりが生きてきています。非営利の活動をしたことがあるからこそ、その難しさも、大切さもわかります。