UNDER 30

2023.08.23 11:45

点と点はいずれつながる。山田早輝子が語るジェネラリストの世界

山田早輝子(写真=小田駿一)

過去のチャレンジというドットが、時を経てどんどん繋がり、良い連鎖を生み出していく。そのためには、否定する前にまずやってみる。人に会ってみる。若い世代は、自分で可能性を自分で狭めてしまう人が多い気がします。
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私がそれに気づいたのは、小学生の頃にボランティアで老人ホームを訪問したときです。そもそも、土曜日のボランティア活動自体があまり好きではなかったのですが、ある日、入居者さんに「ピアノを弾いてほしい」と言われ、誰も名乗でないので、あまり上手くないけれど手をあげたんです。

弾き終わってみると、泣きながら喜んでくださっていた。それを見て心が震えました。気が進まないまま訪問したことを恥じると同時に、私は与えているつもりだったのに、与えられていたんだと知りました。また、何事も自分の尺度で判断するのではなく、一旦受け入れて一生懸命まっとうすることで、想像もしなかった感動や発見があるというオープンマインドの素晴らしさを実感しました。

“ドット”は離れているほど面白い

もちろん自分の進むべき方向性がビシッと決まっていれば、専門性に磨きをかけ、一点突破でブレイクスルーしていくことも素敵です。ですが、1本線のトップは1点ですし、そこに到達するのは簡単ではありません。

20代は、失敗が許されるとき。方向性が決まってなくても、それは逆に言えば、まだまだたくさんの可能性を秘めているということ。だから、一つの業界やプロジェクトに固執するのではなく、国や年代の壁も越境してみる。とにかくドットを増やすことをおすすめします。そのドットが離れていればいるほど面白い。興味がなかったことの中に、自分の得意を見つけるかもしれませんし、それらは必ず30代以降に繋がり、大きな力となります。

たまには気が進まない仕事や出会いもあるでしょう。私はそんなとき、「この時間を最大限楽しむ、そうじゃなきゃ時間がもったいない」と思って臨み、気づけば楽しんでいます。そういった思考が習慣化すると、何に対してもポジティブに、オープンマインドになる。人生自体がパッと開けた感覚になっていくんです。
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いろんな業界を見たり、いろんな世代の人々の話を聞いたり。自ら体験して、自分の中のコンフォートゾーンを広げていくことで、人間としての深みも出ます。それこそゴールを定めていなくても、気づいたらたくさんゴールしていたという、図らずも幸せな状態を味わうことができるはずです。


ビジネス、アート、スポーツからサイエンスまで、次代を担う30歳未満の若者たちをエンカレッジするアワード「Forbes JAPAN 30 UNDER 30」。今年の受賞者は、特設サイトで8月24日12時に発表する。

文=国府田 淳 写真=小田駿一 編集=鈴木奈央

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