ストーカー被害の大半に電子デバイスが関与、英議会で指摘

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英国における家庭内の虐待の大部分に、スマートスピーカーやフィットネストラッカーのようなテクノロジーが関与していると、英国政府の委員会が警告した。

英議会の文化・メディア・スポーツ(CMS)委員会は1年前に、コネクテッドテクノロジーの利点と潜在的な危険性についての調査を開始した。

その結果、ほとんどの家庭内の虐待者が被害者の声を録音したり画像を収集したりして、行動を監視していることが判明したという。英国では各家庭に平均9台のコネクテッドデバイスがあり、2050年までに世界で240億台のコネクテッドデバイスが相互接続されると予測されている。

「コネクテッドテクノロジーは人々の暮らしに恩恵をもたらしているが、その反面、プライバシーやオンライン上の個人の安全に対してリスクをもたらす場合がある」とCMS委員会のキャロライン・ディネージ議員は述べている。

「特に、被害者を監視し、嫌がらせをするためにセキュリティシステムや赤ちゃんの見守りデバイス、スマートスピーカーなどが使用されていることは恐ろしい」と彼女は指摘した。

委員会の報告書は、特に子どもたちに焦点を当てるよう呼びかけている。「コネクテッドデバイスは大量の個人データを収集するものであり、子どもが関与する場合は特に懸念される」とディネージ議員は述べた。

国会議員たちは、企業がユーザー個人のデータをどのように収集し、使用しているのかを開示するよう求めている。ユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドンでセキュリティの講師を務めるレオニー・タンツァー博士は、同委員会で、ストーカー被害者を支援するSuzy Lamplugh Trustのような団体が、すべてのストーカー被害にサイバー的要素があると指摘していることを語った。

同委員会の報告書は、法執行機関が知見を高め、女性と女児に対する暴力に取り組む専門家のサービスに対する認識を高める必要があるとしている。また、製品安全基準局は、この問題を検討するワーキンググループを結成すべきだと述べている。

同委員会は夏以降に、コネクテッドテクノロジーと人工知能(AI)がクリエイティブ産業に与える影響に焦点を当てた2つ目の報告書を発表する予定だという。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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