これらを総合すると、Z世代は持ち物とお金を同列に考えているように思える。物を売ってお金に換えてから何かを買う、というより、すでに持っている物が頭のなかでお金に変換されている。物もお金とおなじ流動的な資産と捉えているようだ。
自分の持ち物が「現金化しやすい」という意識が強いのも、そうした意識の表れかもしれない。特定のものを現金化しやすいかどうかは、持ち主の考え方ひとつで変わる。いつでも売る気があり、いつでも売れる手段があれば現金化しやすいと考え、現金と同じ資産として予算枠に組み込めるわけだ。慶応義塾大学商学部の山本晶教授は、「Z世代は、頭の中に財布があり、“お金”だけでなく“持ち物”も入っているのではないか」とコメントしている。また山本氏は、かつては売ることと買うことが同時、または売るのが先だったのが、売れたことを想定して買うというZ世代の行動は、テクノロジーにより簡単にものが売れる状況が作られたからこそ生まれたものだと指摘している。
かつて、日本が貧しかったころは質屋が繁盛していた。朝、味噌汁の鍋を質屋に預けて現金を受け取り、夕方、日当で返金して鍋を引き出す、なんてことを江戸時代の庶民はやっていたとどこかで聞いたことがある。フリマアプリと質屋では性質がちょっと違うが、現代のテクノロジーを操るZ世代に、そんな江戸の庶民のしたたかさが感じられる。
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