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2023.08.13 14:00

うまく自制できないのは「意思が弱い」からではない、研究結果

安井克至
1914
結果をまとめると次のとおりとなる。

1. 「自制方法の使用者」は、一貫して「意志力の使用者」よりも自制力が弱いと認識された

2. 自制方法の重要性に関する記事を読んだ被験者は、その方法を用いる架空の人物の自制力を高く評価し、自身でもその方法をとろうと強く思った

「私たちの研究は、自制の重要性を信じている人々は、そのような方法を用いる他人に対する評価が著しくて高く、自身もその方法を用いる意志が強いことを示しています」とジェナーラはいう。

この発見が重要なのは、信念が認識と行動に対して与える影響に光を当てている点だ。自制とそれに対する人々の見解との関係を理解することで、自制方法の効果的な利用を促進する計画を立てることができる。

著者らは、自制方法の価値について教育することで個人の信念を変え、それらの方法を採用する意欲を高めることができるという。そうした努力は、現実社会のさまざまな場面における、より簡単で効果的な自制への道を拓くだろう。

実際的には、自分の自制力を改善し、より効果的に誘惑と戦おうとしている人は、さまざまな方法を進んで体験すべきだ。人によって有効な方法が異なるため、すべてに有効な万能薬は存在しない。意志の力だけに頼る代わりに、自分の目標と好みにあった方法を発見して実践することが推奨されるべきだ。

自制において、意志の力の方が自制方法よりも重要だと信じることは、未開発の可能性を捨てることになりかねない。しかし、その方法の有用性を人々にアピールするだけでは、継続的な変化につながらないとジェナーラは付け加えた。

そうではなく自制方法の利用を、その長所、たとえば規律などと結びつけることを彼女は奨めている。自身をポジティブに認識したいという先天的欲求に訴えることには、日々の生活に自制方法をとりいれる動機づけを高める可能性がある。

心理学者アナマリー・ジェナーラが自身の最新研究について話すインタビューの全編は「New research suggests an important first step when trying to adopt self-control strategies」で読むことができる。

forbes.com 原文

翻訳=高橋信夫

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