健康

2023.06.16 17:00

知りたいという「好奇心」は不安解消に繋がる、研究結果

安井克至

Getty Images

人格心理学ジャーナル「Journal of Research in Personality」2023年7月号で発表された研究で、好奇心の力を借りることで不安や不確実さを軽減する方法が解説されている。

研究論文の筆頭著者で、オーストラリア国立大学(ANU)の心理学者ウィリアム・ホワイトクロスはこう説明する。「好奇心とは、未知の事柄を知りたいと望むこと(謎や疑問を解明したいと思う気持ち)であると同時に、知らない事柄がある状況に耐えられないこと(謎が未解決のままになっているのを好まず、答えを求めること)でもある。そこに興味を覚えて、この研究を始めた」

ホワイトクロスによると、恐れや不安、不確実さという不快な感情にばかり目を向けると、好奇心がもつ力をつい忘れてしまうそうだ。好奇心には特別な力があるという。

「好奇心がわくと、知らない事柄を学びたい、理解したいという思いが自ずとともなう。そして、わからないことを避けたり、恐れたり、批判したりしたくなる衝動が打ち消される」とホワイトクロスはいう。「また、新たな事柄を受け入れて学び、成長しようという自信も生まれる」

ホワイトクロスによれば、好奇心は2つの種類に分かれるという。

1. 何かを知りたいという好奇心:つまり、楽しみや喜びを得ることを目的とした学習意欲だ。なぜだろうと疑問をもったり、心が引かれたり、興味をそそられたりすると言ってもいいかもしれない

2. 情報不足を補いたいという好奇心:こちらは多くの意味で、何かを知りたいという好奇心とは正反対で、無知や無理解から生じる否定的な感情を和らげることを目的とした学習意欲と言える。質問に答えられないときや、何かをなかなか思い出せないときに覚える腹立たしさと同じだと、ホワイトクロスは説明している

ホワイトクロス率いる研究チームは、オンライン調査を実施し、不確実な事柄に対する参加者の好奇心や捉え方のレベルを記録。その結果、2つの重要な知見が得られた。

1. 何かを知りたいという好奇心のレベルが高い人は、不確実な事柄をより肯定的にとらえていた。他の人よりも、わからないという感情を楽しみ、未知の事柄に対して楽観的な態度で臨む傾向があった

2. 情報不足を補いたいという意味で好奇心のレベルが高い人は、不確実な事柄に対して居心地の悪さを感じるようだ。わからないという感情を好まず、否定的な可能性に目を向ける傾向があった
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翻訳=遠藤康子/ガリレオ

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