2023.08.06 12:00

レクサス初のEVは上出来だが、航続距離は競合車に負ける?

今回乗ったのは、一般的なステアリングシステムを装備したモデルだったけど、コーナーに入った時は綺麗にカーブをライントレースしてくれるし、しかも作りは低重心なのでボディロールしない。とても安定していて、運転してて気持ちがいい。



唯一、bZ4Xとあまり変わらないのは、航続距離だね。はっきり言って、それだけは一部の顧客にとってネックになるかもしれない。

そう、RZ450eは1つだけ課題がある。冒頭で触れた欧州ライバルに比べてレクサスは航続距離が短いのだ。潜在的なEV購入者に航続距離(電欠)の不安を忘れろというのは、ほとんど乗り越えられない課題だ。やはり、EVに乗っても、最低で400km以上の航続距離が可能なクルマに乗りたい、そう思うユーザーは多い。

そのため、購入者の多くは、自分の毎日の通勤距離が400kmの20%であるにもかかわらず、充電間隔が少なくとも400kmであることにこだわる人が多い。そして、あえて航続距離を200km程度に設定している車は、充電が速いか、価格が安いか、あるいはその両方でなければならない。

レクサスが、RZ450eの航続距離は494kmだと言う。でも、リアルワールドに近いとされているアメリカのEPA(米国環境保護庁)の数字だと、354kmになっている。一方、アウディQ4 e-tronは426km、メルセデスベンツEQBは402km、ボルボXC40は471km、それにテスラ・モデルYのベース仕様は450km。

と聞くと、レクサスはライバルの航続距離についていっていないことがわかる。そんなに距離を走らない人なら、この点は気にしないだろうけど、多くの顧客はやはり400km以上走れるEVに乗りたがっているようだ。



そこで、アメリカの有力誌「カー&ドライバー」がこう評価している。「RZ450eはとても良くできたEVで、高級感が素敵で、しかも十分に加速性はいいけど、航続距離は競合車には敵わない。親会社のトヨタは26年前にハイブリッドのプリウスで電動化を始めたにもかかわらず、トヨタの初EVは昨年、レクサスの初EVは今年登場と言うその実態は、かなり遅れているではないか」と辛口。

僕も同感だ。RZ450eの完成度は非常に高いし、内装の質感、走り、乗り味、静粛性もクラス1だと思う。でも、誰よりも早く市販車にバッテリーと電気モーターを積んだトヨタには、やはりライバル車と並ぶほどの航続距離を出して欲しい。やはり、唯一の解決方法は、テスラがやったように、ベース・グレードのモデルYよりも、80km以上長く走れるパフォーマンス仕様を追加するというソリューションしかないのかな。

国際モータージャーナリスト、ピーターライオンの連載
「ライオンのひと吠え」過去記事はこちら

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