デジタルストレージ技術のロードマップ作成、その20年間の歩み

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筆者は20年以上にわたり、デジタルストレージ技術に関する業界コンソーシアムでロードマップを作成する活動に関わってきた。こうした技術ロードマップの取り組みについては、さまざまな団体がさまざまなマスストレージをテーマに、1980年代と1990年代を中心に、21世紀はじめまで行ってきた。

これらは、諸企業が市場で競争を始める前の検討会であり、業界関係者のほか、ストレージデバイスの能力を向上させる新技術を研究している学術関係者も参加していた。これらのロードマップは、企業や研究者がさまざまなストレージ技術について、新技術の実装がいつになりそうか、そのアウトラインをまとめ、それぞれの取り組みの的を絞れるようにするためのものだ。

サンタクララ大学の情報ストレージ技術研究所(IIST)は、カリフォルニア州のアジロマーで、業界ロードマップ検討会を毎年開催し、筆者は数年の間、オーガナイザーを務めていた。そのおかげで、1990年代と2000年代はじめの技術の進歩と、面密度(ひいてはストレージ容量)の増加をはじめとする重要な要素の見通しについて、歴史的な変遷を見守ることができた。また、INSIC(Information Storage Industry Consortium)のロードマップ検討会や、HDD業界団体IDEMAの標準といった関連活動にも参加した。

2000年代はじめには、NEMI(現iNEMI、国際エレクトロニクス製造者協会)のマスストレージ・ロードマップ検討会の共同会長を務めた。もう1人の会長は、当時IBMに所属していたロジャー・ホイトで、ロジャーは1996年ごろから、この検討会の会長だった。

この検討会では主に、2~3年ごとに、半導体とパッケージングのロードマップを公開していた。このロードマップ作成グループには、磁気デジタルストレージ(HDDと磁気テープ)のほか、光学ストレージとソリッドステートストレージの専門家が参加していた。

2022年、ロジャーと筆者は、iNEMIロードマップを、IEEE技術ロードマップイニシアチブへと移行させた。IEEEは、2015~2016年に前ITRS半導体ロードマップを引き継いだ後(現在はIEEE IRDSと呼ばれている)、さらに取り組みを拡大している。具体的には、ヘテロジニアス・インテグレーションロードマップ(2.5Dおよび3D半導体デバイスインテグレーション)、国際ネットワーク形成ロードマップ、ブレイン・マシン・インターフェースに関するニューロテクノロジー、ワイドバンドギャップ半導体に関するロードマップを含めることになった。ロボティクス関連のロードマップと、パワーエレクトロニクス関連のロードマップもまもなく加わる予定だ。
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翻訳=梅田智世/ガリレオ

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