安達:「会議の資料、まとめておいて」など、ちょっとした雑用でも、安請け合いするのではなく、具体的にどんな成果物を出せばいいのかその場で確認すること。
納期を確認するのは多くの人ができることですが、納期だけ確認して、仕事に取り掛かったら「あれ? ここってどっちがいいんだろう」と不明点が出てきて、上司に確認しようにも、外出してしまって連絡が取れない。「明日の昼までって言われたのに、どうしよう」とあとから後悔する……というのは、新入社員にはよくあるトラブルだと思います。
──あるあるですね……耳が痛いです。
仕事を任せる側が、指示を明確にしてから依頼をするケースは少ないものです。
たとえば、納期を確認したあとに、「誰に見せる用の資料ですか?」と聞いてみる。
すると「役員プレゼンで聞かれたときに、提示できるようにしたい」と返ってくる。
そしたら「でしたら、過去の成功事例やデータがたくさんあった方がいいですよね?」とまた上司に確認することができる。
すると「そうだね、とにかく、真剣にこのプロジェクトについて本気で考えている感を出したい。無駄になるかもしれないけど、やっていて損はないと思う」となるかもしれません。
──だいぶ進めやすくなりましたね。
安達:そうなんです。もちろん、このようにうまくいくことばかりではありませんが、だれしも仕事をお願いしようと思った理由はあるはずです。この例では、「役員にいざ聞かれたときのために、データをたくさん集めた資料を作る」という成果を合意することができました。納期を確認し、成果を合意したら、あとは、納期より早く成果物を提出すれば……
──仕事が「できる人」になる……!
安達:そういうことです。成果を合意し、納期より早く提出する。新人はこれだけで確実に「仕事のできる人」になれますね。多くの人が成果を合意せずに、納期だけ早くしようとして、無理がでるんです。
成果を確認することで、手に入れたのは「考える軸」です。資料を作っている途中で何か迷っても、「役員に見せる」「データの網羅性」という軸に沿って考えることができる。
仕事ができない人ってすぐに「何を考えればいいかわからない!」となるんですよ。そうならないための考える軸を仕事を任された瞬間に確認する。頭のいい人って成果を合意するための質問がすぐできるんです。ですから、任された瞬間に「仕事ができるかどうか」は決まる、と言っても過言ではないです。
なので、大袈裟に聞こえるかもしれませんが、「契約書にサインしてもいい」と思えるレベルまで、最初にきちんとチェックして、考える軸を集めるために質問してから仕事に取り掛かるといいと思います。
「契約書にサインしてもいい」と思えるレベル、というのは、「考える軸が手に入ったからなんとかなりそうだな」という状態です。
──「考える軸を集める」イメージで質問する……
安達:そうです。で、提出するときに、「こういう軸で判断したので、ここはこうなっていますと」説明すればいいんです。
──これは、もしかして、6の「説明責任を果たせ」ですか?
安達:そういうことです。さすがですね。仕事を任された瞬間に「考える軸」を集めて、納期より早く提出し、判断した基準を考える軸に沿って説明できたら、「この人、仕事できるし、頭いいな」となるはずです。そしたら、仕事ができる人だけが入れる「上昇スパイラル」に入れるんです。
──え、なんですか? それ。