仕事から離れられる休暇を。秘訣は「カルチャーづくり」にあった

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新しいチームに来た時に、夏休み中も仕事をしている人がいることに気が付いた。これ自体、何も不思議なことではない。ワーカホリック気味な私は、家族が海で泳いでいるのを尻目に、ビーチサイドでクライアントと真剣な交渉をしたこともある。

責任感からなのか、休暇後のサプライズを避けるためなのか……とにかく携帯やPCから離れられないのは多くの人に共通する悩みかもしれない。まして顧客がいる仕事をしている人は余計にそのプレッシャーが強いはずだ。

その年、自分への戒めも込めて、全員がリフレッシュできる夏休みをとれるように、こんなメッセージを送った。

「みんなが気持ちよく夏休みをとれるように、夏休みの原則を共有します!

・自チーム内でカバーしあえるように日程調整する。チーム内でカバーできなければ、他のチームにも頼る。他のチームでもカバーできないことは、他の部門にも相談する。とにかく休み中は仕事しないように調整する! 

・そのためにも、引継ぎは丁寧に。引継ぎのミーティングや資料の共有はもちろんのこと、お休みに入る1週間前からはお互いメールにCCを入れる。そうすることで状況が把握できます。 

・せっかくのお休みです。おもいっきりゆっくりしたり、楽しんだり、しましょう! そして他の人が休んでいる間はみんなで助け合いましょう!」

それでも、夏休み中の人から少しではあるがメールの返信があった。その時に返信をしなければならない緊急の内容でもなかったが、その気持ちは痛いほどわかったし、自分もそうするだろうと思った。今年、少し早めの夏休みを終えたその人は、「携帯を一切見なかった」と嬉しそうに共有してくれた。

ここで思った。やっとカルチャーになった、と。

そうなのだ、我々は複雑で入り組んだ世界に生きている。色々な思惑に挟まれながら、決断を迫られる。リーダーはその中で問題意識を持ち、組織に変革をもたらし続けなければならない。問題を解決する仕組みを作ったり、システムを入れたりすることはできるが、その先にもたらさなければならないのは、このカルチャーを作ることなのだ。
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文=西野雄介

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