ビジネス

2023.09.21 15:00

「上司からの指示は契約だ」。仕事を任されて二流がすること、一流がすること

安達:「この人、仕事できるし、頭いいな」と認識されたら、どんどんその人に仕事が回ってくるようになります。とりあえずあいつに任せとけばなんとかなりそうだ、と。

5の行き詰まったら「即、相談せよ」を守っていたら特にですね。なにかあってもちゃんと相談してくれるし。と安心感もある。

仕事を任される回数が増えると、経験がどんどんたまっていくんです。経験も「考える軸」になるんです。「考える軸」が勝手に増えていく。そしたら、次に仕事を任されたときに、「考える軸」を集めなくても、すでに経験という経験という軸があるので、「わかりました~」と納期だけ確認して受けられるようになるんです。これが「上昇スパイラル」です。

「メモの取り方」で差がつく2つのポイント

──とはいえ、上司に仕事を指示されたとき、頭の中で不明点をサッと整理するのって、結構難しいですよね。「ちょっと頼みたいことがあるんだけど。これがこうで、あれをやってほしくて……」と上司が説明をはじめることもあるでしょうし。「考える軸」を集めるイメージを持った上で、具体的にどんな聞き方をするといいでしょうか?

安達:2つのポイントを意識するといいと思います。

1つは、基本的なことですが、「紙に書くこと」。曖昧になっている箇所を発見しやすくなるので、メモを取ることは必須だと思います。

言葉にできないものは作れないので、まずは、指示された言葉の意味を一つ一つ確認しましょう。

よく使う言葉でも、上司と自分では、違う意味としてとらえているかもしれません。以前、私が働いていたコンサルティング会社では、ミーティングで常に辞書を携帯することが義務付けられていました。コンサルタントの先輩や上司だけでなく、クライアント先の優秀な人はみんな、言葉の定義に敏感で、「安達さん、その言葉の意味って、こういう認識で大丈夫ですよね?」と確認されたことは何度もあります。



──たしかに、安請け合いして、「簡単な仕事だと思ったから引き受けたのに、思ったよりヘビーな仕事だった!」とあとで気が付く……みたいなこと、よくありますよね。

安達:そうそう。たとえば、「スケジュール管理」という言葉一つとっても、イメージは人それぞれです。

単にスケジュール管理を「会議などの予定を被らないように調整すること」と考えているか、「理想のスケジュールを過ごせるようにマネジメントすること」と考えているかによって、言動は変わりますよね。

入社1年目だと、社内で使われている言葉の半分もわからないと思います。社内ルールとしてはまとまっていないけど、みんな知ってる「社内の常識」みたいなものもあるかもしれない。

言葉に敏感になり、定義を掘り下げることは、言い換えれば、「思考の解像度を上げる」ということです。

メモを取るときには、「言葉の定義」を確認し、上司が求める仕事のレベルを把握しましょう。それだけで、「ここまでやると思わなかった!」という誤解や、仕事の見積もりミスなども、ずいぶん減ると思います。
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取材・構成=川代紗生 撮影=疋田千里

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