WSJが匿名の関係者の話として伝えたところによると、TikTokは8月に米国でアマゾンに似たマーケットプレイス「TikTokショッピングセンター」を開設し、ユーザーがそこで商品を閲覧したり購入したりできるようにする。中国で製造・販売されているさまざまな商品が、TikTokやほかの販売業者によって米国の消費者のもとへ出荷される。マーケティングや物流はTikTokが担当する。
中国の出品業者への支払いは、商品が売れたあとにTikTokによって行われる。不人気な商品については、TikTokが不良在庫を抱え込むのを避けるため業者側に送り返す方針。TikTokはこの新プログラムによって、プラットフォーム上での今年の商品取引総額を200億ドル(約2兆8000億円)と、昨年の4倍に拡大することをめざしている。将来的には、中国以外の販売業者や製造業者にもこのマーケットプレイスを開放することを計画しているという。
TikTokの米国でのEC事業は、ファストファッションECのSHEINや、アパレル以外の製品も取りそろえるTEMUと競合するとみられる。いずれも低価格を武器に急成長を遂げているプラットフォームだ。
TEMUは中国でEC「拼多多(ピンドゥオドゥオ)」を手がけるPDDホールディングスの傘下にあり、米マサチューセッツ州ボストンに本社を置く。今年は米プロフットボールNFLの王座決定戦スーパーボウルでのCMが話題を呼んだことや、TikTokの動画で頻繁に取り上げられたことでアプリダウンロード数を増やした。低価格を実現できているのは、中間業者を排除して中国の業者の商品を米国の消費者が直接購入できる仕組みや、商品を中国から直接出荷する方式のためと説明している。
一方のSHEINはいまでは世界で最も人気のファッションブランドのひとつとなっており、昨年の売上高は1000億ドル(約14兆円)に達した。ただ、生産現場の安全性や環境への影響などをめぐって繰り返し批判にもさらされている。
WSJによると、両社は昨年、合計で8億ドル(約1100億円)の利益をあげている。
テキストでの投稿も可能に
TikTokは24日、テキストベースのコンテンツを投稿できる新機能を発表していた。こちらはインスタグラムやツイッターに挑むものになる。中国のバイトダンスが所有するTikTokはここ数年、米国で急激に人気が高まる一方、米国人のデータが中国政府に渡るのではないかという懸念を招いている。TikTokは、中国当局とデータを共有したことは一切ないと主張している。
(forbes.com 原文)