経済

2023.07.24

遊園地の4割が値上げ コスト増と混雑緩和の背景二極化

Getty Images

オリエンタルランドは6月23日、運営する東京ディズニーランドのパークチケットを、10月1日入園分から最高で大人1名1万900円まで引き上げると発表。同施設では混雑状況に応じて価格を変える「変動価格制」を導入しており、初の1万円超えとなったことから世間の注目を集めた。

アフターコロナで行楽需要が復活する中、値上げの動きを見せるレジャー施設は、東京ディズニーランドだけにとどまらない。帝国データバンクは7月20日、レジャー(テーマパーク)施設の価格改定状況について、調査・分析した結果を発表した。同社によると、国内190の主要レジャー施設(遊園地・テーマパーク・水族館・動物園)のうち、昨年(2022年)以降、入場料などの「チケット代」を値上げした割合は、全体の43%(82施設)に上ることが明らかになった。

うち全体の32.1%(61施設)は、2023年中の値上げだった。レジャー施設別に見ると、2023年に最も値上げの割合が高かったのは「遊園地」で約4割(36.8%)。次いで水族館(34.2%)、テーマパーク(26.9%)、動物園(26%)の順に。

施設別の平均チケット価格を見ると、遊園地の「フリーパス」(※)の平均価格が前年比で+206円(+5.1%)と最も高い上昇率となったほか、「水族館」が+79円で続いた。

※フリーパス=入場料に加え、別に設定される1Dayパス料金または入場料が設定されていない施設の回数券料金

値上げの理由としては、約7割が「光熱費の上昇」をあげた。遊園地では遊具の稼働に、水族館や動物園では飼育のためのポンプや空調機器の稼働のために、電気を消費する。他にも、「物価・諸経費の上昇」(約4割)や「餌代・飼料代の高騰」(2割強)、大手を中心に「混雑の緩和」(約1割)などの理由も見られた。

帝国データバンクは、電気代や人件費の負担増から値上げせざるを得ないケースと、混雑の緩和や設備リニューアルなど、前向きな理由で値上げに踏み切るケースがあると説明。その上で、「物価の上昇が続くなか、テーマパーク内の有料施設の利用回数や、施設内の飲食代を抑えるなど、節約志向が強まると見られ、チケット代の値上げがテーマパークの集客や利用金額に影響を及ぼす可能性がある」との見方を示した。



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Forbes JAPAN Web編集部

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