気候・環境

2023.07.18 10:30

原子力は石炭に代わる将来有望な選択肢

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報告書は、石炭関連の炭素排出量を削減するための3つの主な道筋を明らかにしている。
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・未対策の石炭火力発電所の早急な廃止:この道筋では、排出された炭素を回収・貯留しないすべての石炭火力発電所を2030年までに廃止する。この道筋は、環境に優しいエネルギー技術への多額の投資を必要とするが、最短の期間で最大の炭素排出削減を実現する方法でもある

・未対策の石炭火力発電所の段階的な廃止:この道筋では、未対策の石炭火力発電所を2040年までといった長い期間をかけて段階的に廃止していく。これは、急速な廃止の道筋よりも環境に優しいエネルギー技術への投資が少なくて済むものの、炭素排出削減量も少なくなる

・炭素の回収・貯留(CCS)をともなう石炭の継続利用:この道筋では、CCS技術を使って石炭火力発電所から排出される二酸化炭素を回収・貯留する。CCS技術はまだ開発途上だが、石炭関連の炭素排出量を大幅に削減できる可能性を秘めている
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報告書は、石炭関連の炭素排出量を削減するには、未対策の石炭火力発電の急速な廃止が最も効果的であるとしている。原子力発電は、石炭火力発電に取って代わる重要な役割を果たすと期待されている。IEAの発表誓約シナリオ(APS)では、30カ国以上が原子力発電能力の拡大に関心を示しており、2026~2030年までの世界の発電能力の拡大は年平均18ギガワットと、直近の2017~2021年までの平均6ギガワットの3倍になると予想されている。

市場をけん引するのは中国で、2030年までの新規原子力発電能力のほぼ40%を占める一方で、フランス、インド、ポーランド、英国、米国をはじめとする国々も、新規原子力発電事業への支援や投資計画を発表している。APSは2030~2050年まで毎年平均20ギガワットのペースで原子力発電能力が拡大していくと予想しており、これには初期費用が安く、安全性と廃棄物管理機能が改善された小型モジュール炉が含まれる。

石炭火力発電の原子力発電への転換には、確かに課題もある。最大の課題は、原子力発電所の新設にかかる費用と時間だ。石炭火力発電所を原子力発電所に置き換えるには、複数の規制上の壁を乗り越える必要がある。しかし、原子力発電への転換は、石炭火力発電所の労働力を維持しながら経済を安定させ、同時に米国が気候変動対策目標を達成するのに役立つだろう。

forbes.com 原文

翻訳・編集=安藤清香

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