マーケティング

2023.07.30 18:30

超高速を実現する「スーパーカーブランド」だからできること

鈴木 奈央
中道:これから日本のマクラーレン・オートモーティブはどういう風になっていくのでしょうか。

正本:日本においては、ラグジュアリーという難しい分野で、2012年からの10年間で5000台規模までいった稀有なビジネスモデルだと思います。急成長したがゆえにお客さまにご迷惑をおかけした面もありました。次の10年ではそこにしっかり取り組み、あるべき姿にしていきたいと考えていました。

そこでコロナが来て、経営的にかなり厳しい状況になりました。半導体不足などから、自動車業界全体が、なかなか供給できなくなったのです。

しかしその間に中古車ビジネスに注力することができました。2020年から2022年の間にビジネスの体質はガラッと変わり、今はまた新しい商品も出てきて供給も回復しています。3年かけて種を蒔いたので、2019年以前よりも質の高いビジネスをやっていく体制が整った気がしています。

中道:マクラーレンはこれから新しい章に入るのですね。この番組のテーマでもあるのですが、日本人としてグローバルでいろいろな経験をしてきた正本さんにとって、今後やっていかなければならないことをどのようにイメージしていますか。

正本:魅力的なブランド、製品、それを体験するプラットフォームを提供できれば、お客さまの信頼を得て、ビジネスは伸びていくと思っています。

うちの究極の価値はプロダクトではありません。究極の価値は、最高のプロダクトを使って、普通では体験できない時速何百キロでの人と車のインタラクションを提供することです。しかも楽しいだけでなく、安全で快適に。そのための場所やドライビングトレーニングなども提供していきたいです。

そして、これはまだ夢でしかありませんが、うちのレーシングカービジネスにうまく繋げてワンメイクレースなどを開催して、マクラーレンという名にふさわしいモータースポーツの体系を作りたいです。

中道:すごく面白そうで鳥肌が立ちました。最後に、正本さんは日本人が海外で自分のプレゼンスを出すために大切なことは何だと思いますか。

正本:難しいですね。難しいけれど、まずはやっぱりチャレンジしてみないと、その先は見えませんよね。若い時は失敗しても許されることがたくさんありますから、いろんなことにチャレンジした方がいい。
(左)(右)

(左)中道大輔(右)正本嘉宏


特に海外に出ていくことは絶対に必要だと思います。英語圏は、情報のスピードも速い。文化的な視点など、いろいろなものが培われます。例えば日本のメディアはどこもそんなに違いはありませんが、海外は局によってさまざまで、こんな視点もあるのかと驚くことばかりです。

今はデジタルでそういう情報をとることもできますが、頭で理解するだけではダメだと思うんです。やはり肌で感じたことが自分の資産になるのだと、自分の過去を振り返って思っています。

タグ:

連載

VISION TO THE FUTURE

ForbesBrandVoice

人気記事