政治

2023.07.10 12:30

戦線に近づくウクライナのCV90歩兵戦闘車、ロシアに苦渋の選択を迫る

すべては計画の一部だった。バフムートの戦いで疲弊し、当然ながら南方の作戦を心配するロシア軍には、バフムートとその周辺での防衛態勢に移行する以外に選択肢はなかった。そして1カ月後、ウクライナ軍はバフムートの南北で反撃に転じ、主導権を握った。

ウクライナ軍は6月の最終週にバフムートの南で重要な突破口を開いた。新設の第3独立強襲旅団が、バフムートのすぐ西を南北に貫き、この地域のロシア軍の防衛を支えているドンバス運河沿いの塹壕からロシア軍を追い出した。

クレミンナ周辺でも同様の攻勢が間もなく始まるかもしれない。ウクライナ側が持続させられる新たな反撃は他の反撃を支える可能性がある。ロシア側は予備兵力がほとんどないため、苦渋の選択を迫られている。

ウクライナ軍の反攻を遅らせるために南部戦線を強化するのか、それとも破壊された都市を支配下に置き続けるためにバフムート周辺の防衛を強化するのか。ウクライナ軍がクレミンナ方面へ攻撃を仕かけた場合、ロシア軍は他の防衛陣地を消耗させることなく部隊を北へ移動させることができるだろうか。

十分な装備を整えた旅団が控えている限り、ウクライナ軍はロシア軍よりも多くの選択肢を持っている。ウクライナ軍の部隊はいくつかの軸に沿って探りを入れることができ、どの軸が大規模な突破口を開けそうかが明らかになるまでロシア軍の反応を観察することができる。

つい最近前線に向かい始めるまで、CV90を擁する第21機械化旅団は予備旅団の1つだった。この部隊と強力な車両を戦闘に投入することで、ウクライナ軍の作戦司令部は何かしら達成できるかもしれない。

同旅団はロシア軍を北に引きつけ、南部とバフムート周辺での前進を容易にする可能性がある。あるいは、ロシア軍が大部隊の再配置を断念した場合、第21機械化旅団がクレミンナの軸で突破口を開くことができる状態になっているかもしれない。

forbes.com 原文

翻訳=溝口慈子

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