エクステリアデザインで最も変わったのはフロントマスク。フロントグリルが大きくなり、迫力が増している。しっかりグリルに穴が開いていているのは、しっかりと空気を取り込み、空力バランスと冷却性能を両立させるためで、デザインだけでなくパフォーマンスにも効果が高いだろう。走行安定性を高めるため、フロントトレッドは6mm、リアが22mm拡大されている。エンジンはこれまで同様メルセデスAMGの4リッターV8ツインターボエンジンだが、680PS/800Nmを発生する。8速ATが組み合わされ、0-100km/hは3.6秒。最高速度は325km/h。
一番のトピックは、新しいダンパー「インテリジェント・アダプティブダンパー」と電子制御の「エレクトリック・リア・ディファレンシャル(E-diff)」が加わり、さらにサスペンションとよりダイレクト感を味わえるステアリングシステムにより、よりラグジュリー、よりダイナミックな走りを実現させる。これらの技術は、F1からのフィードバックなのだろう。
タイヤはアストンマーティンDB12専用のミシュラン・パイロットスポーツ5Sでフロント275/35/ZR21、リアが325/30/ZR21。これは特別仕様なため、「AML」というタイヤコードが付いていて、21インチのホイール装着する。インテリアのレザーは、「ブリッジ・オブ・ワイル」製。また、自社開発の10.25インチのインフォテイメントにも自信をのぞかせる。サウンドシステムは「Bowers&Wilkins」を採用する。
私が試乗したのはニュートロン・ホワイト。試乗場所に並んでいたDB12の中では一見、地味かと思いきや、ドアを開けた途端、「わお!」深いパープルとややグレーがかったホワイトのツートーンカラーが目に飛び込んできた。なるほど。確かに素敵だし、女性が好みそうな色だと思った。
ちなみに、私がアストンマーティンの一番好きなところは、香り。ドアを開けてシートに滑り込むと、「アストンマーティン」の香りに包まれる。アストンに限らずだが、英国車と米国車は、本当に良い香りだ。それはブランドによって違うのだが、ハイブランドショップのような涼やかで少し甘い香りがする。
「DB12」は、「世界初のスーパーツアラー」「ウルトララグジュアリー」と謳っているが、すでに香りで合格。シートの肉厚感も嬉しい。ただし、ちょっとダッシュボードが高く、そこからセンターコンソールが後席まで伸びるが、全体的に高いのが気になる。包まれ感も高いが、シートを少し高めにしないと、圧迫感と感じる人もいるかも。インパネ上部にはタッチ式のマルチスクリーンシステステム、その下にトグル式とスイッチが並び、使い勝手は上々。