これまでの007シリーズのうち、実に14作品にアストンマーティンのクルマが登場し、まさにボンドカーといえばアストンマーティンだ。中でもDB5は8作に登場し、まさにボンドカー=DB5をイメージする人は多いだろう。
そのDBシリーズの最新モデル「DB12」が今年2023年5月24日に英ゲイドンで発表され、その6時間後には日本でも公開された。
南仏で行われた国際試乗会にカーライフエッセイストの吉田由美氏が参加した。その模様をリポートする。
映画の大型スクリーンに映し出されるアストンマーティンはすこぶるカッコいい。しかも品がある。派手なカーアクションシーンでの登場でなくても、そこにあるだけで存在感があるのだ。ジェームズ・ボンドに並んで、もはや映画の主役だ。確かに、007ではどんな車が登場し、どんなシーンを見せてくれるのかも映画の見どころのひとつなのだ。
そんなところから、「いつかはアストンマーティン」と思っている人は少なくないだろう。
アストンマーティンの中でも特別なモデル「DBシリーズ」。初代DB1は1948年に登場した。車名の「DB」は、かつてのオーナーであるディヴィッド・ブラウンの名前が由来である。
「DB11」の後継車となるが、先代の「DB11」は2016年に発売され最初は5.2LV12ツインターボエンジン、608PSだったが、翌年に4LV8ツインターボエンジン、503psのエンジンを搭載するモデルが登場した。しかもこのエンジンは、技術提携を行っているダイムラー社のメルセデスAMG製というから驚きだ。
ニース空港へ到着し、そのあと向かったのは2021年にオープンした南仏コートダジュールにある5つ星の高級リゾートホテル「The Mayborn Riviera(メイボーン・リヴィエラ)」。モナコ中心部からはわずか5kmちょっとしか離れてないロクブリュク・カップ・マルタンという町の崖の上にある。すべての客室、レストラン、カフェから見える景色は実に美しい。東にイタリア、南にキラキラと光る地中海、西にはモナコが眼下に拡がる、どこから見てもまさに絶景中の絶景。海岸線にはココ・シャネルの別荘「ラ・パウザ」もあり、ココが愛した場所だそうだが、それも納得。建物はガラスに覆われた船のようなデザインで、角の部分が鋭角に飛び出し、ダイナミックで個性的。エントランスの横にはDB12のコミュニケーションカラーである新色のグリーン「イリディセント・エメラルド」のDB12がモナコを見下ろすように展示されている。まさに、007の世界だ。