ベイン・アンド・カンパニーによる「2023 年春、世界高級品市場レポート」によりますと、2022年の個人向け高級品市場は、3450億ユーロ(約53兆9233億円)に達し、成長率は9~11%と記録的な成長をしているとのこと。その勢いは、2023年第1四半期でも続いており、2023年の世界高級品市場は3600億~3800億ユーロで5~12%の成長が見込まれると予測しています。
ただ、地域によって成長度合いが違い、米国では、景気の先行き不透明感やハワイやラスベガスなどといった観光地では、まだ2019年のピーク水準に達しておらず、減速傾向にあるとしています。また、欧州は第1四半期好スタートを切ったものの、夏以降米国や中東からの観光客が減少するとの予測から、その展開次第で上昇幅が変わるとしています。
一方、中国は年内拡大する見込みで、ブランドによっては2021年の水準まで回復すると予測。日本は、インバウンド需要も回復して爆買いが戻ってきていますが、国内消費者へのアピールを強化しなければ、手堅い成長が見込めないかもしれないとしています。
今後も、中国市場の復調や南北アメリカ大陸での持続的成長により、個人向け高級品市場の売上成長率がこのまま維持されるとなると、2030年までに2020年比約2.5倍の5300億~5700億ユーロに拡大すると予測しています。
最富裕層は「少数のより良い物」を求める消費傾向が見られ、「高揚感の追求」が超高級品の売上を後押ししているとのこと。特に時計やジュエリーが成長を牽引し、バッグの人気定番戻るは資産価値が高いと捉えていることから、活発な購買につながっています。日本や東南アジアでは免税店の売上が復活してきており、コロナ禍で落ち込んだ市場が復活によって堅調な成長へ寄与することが予測され、拡大傾向との予測は現実的なのかもしれません。
出典:ベイン・アンド・カンパニーによる「2023 年春、世界高級品市場レポート」より