そして、もう一つの要因は、前回の連載で言及した「PBR是正」だ。1月に東証が上場企業に対してPBR是正の要請を出したことで、自社株買いを発表する企業が増加している。
日本株は昨年から出遅れ感があり、株価に反映されていない時期が続いていたが、東証プライム上場企業すべてを対象としたTOPIXも、バブル後の高値を更新している。
ただ、17日のマーケットでは、業種の半分が上昇し、もう半分は下落していることから、すべての業種が全面高ではない。過熱感や高揚感はほとんどないまま3万円回復となった。
日経平均の上値は?
そうした状況のなか、3万円の大台を回復した後は、相場に勢いが付き、上値を追う動きが見られる。3万円到達の時点で下落すると予想した空売りもあり、一段高となった際、むしろ踏み上げ相場の様相を呈している。勢いのある相場での逆張りや、バスに乗り遅れたことを後悔して今から乗りにいくことはオススメしない。
日経平均の見通しは、今後の日本景気動向のモノサシとして利用する。そのうえで、3万円回復した日経平均は、株価の割高・割安を示すPERは14.37倍。日経平均のPERは1年を通じて11倍~16倍で推移することから、14倍台は通過点になる可能性がある。
こうした相場になると、強気派と弱気派で意見が分かれる。
強気派は、日本の企業業績の好調さ、円安、地政学リスクから、海外投資家から日本が選ばれている点を挙げる。
弱気派は、2023年後半にかけて日銀の政策転換による円高リスクや金融不安の再燃をベースに調整するシナリオを想定する。
強気派は上値3万5000円(PER16倍)、弱気派は下値2万4000円(PER11倍)あたりの予想値となる。
こうした、対立するシナリオの予想値が当たる・外れるということに意味はなく、重要なのはロジックを抑えておくこと。常に良いシナリオと最悪のシナリオの両方を想定して置くことが、ビジネスにおいても、投資においても必要になる。