自転車ヘルメットへの罰則 弁護士の約6割が反対

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警察庁によると、2022年に発生した自転車が関係する事故は6万9985件。2年連続で増加した。2023年4月1日からは改正道路交通法により、自転車に乗る際のヘルメット着用が努力義務化。そうした中、人々の自転車ヘルメット着用実態や罰則化についての考えはどうなっているのか。弁護士ドットコムは7月3日、同サービスの一般会員1260名と登録弁護士82名を対象に実施した調査結果を発表した。

まず、自転車利用者のヘルメット着用が努力義務となったことを知っているかを一般会員に尋ねたところ、9割超(94.8%)が「知っている」と回答。続いて一般会員のうち月に1度以上、自転車に乗車する人を対象に、ヘルメットを着用しているかを質問すると、「法改正前の3月以前から着用している」(10.3%)と「改正のあった4月から着用するようになった」(13.8%)、「着用している」派は合わせて約2割(24.1%)にとどまる結果に。ヘルメット着用義務化については大半が認識しているものの、実行しているのは少数派だと分かった。 

自転車でのヘルメット着用実態

さらに、自転車ヘルメット着用について、努力義務ではなく罰則のある義務化にすべきかを聞くと、「すべき」と答えた割合は一般会員で30.9%。会員弁護士(15.9%)を大幅に上回る一方で、「すべきではない」と回答した弁護士は約6割(58.5%)に上り、一般会員(27.5%)の約2倍に。罰則適用に反対する弁護士が多数派だった。

より強い「義務化」は必要か(一般会員)

より強い「義務化」は必要か(弁護士)

他にも、会員弁護士に対して、着用義務化が交通事故の交渉に影響があるかどうかを尋ねたところ、「影響する」と答えた弁護士が合計65.9%を占めた(影響する:24.4%、まあまあ影響する:41.5%)。

ヘルメット着用義務化による交通事故の交渉への影響

自転車ヘルメットの着用が努力義務となったことについて、会員弁護士に意見を求めると、次のような声が。

「やるのであれば罰則まで設けるべきだが、経験上、自転車は被害者ではなく加害者となることが圧倒的に多い。かつ、車と接触・転倒した場合の受傷は頭部ではなく四肢であることが多いので、自転車が被害者となる死亡事故の割合をわずかに下げるに留まるのではないかと思う」

「ヘルメット未着用者について、事故に遭った場合の過失相殺が認められていくのではないかという観点で推移を見守りたい」

「努力義務とはいえ法律で義務付けるべきものではないと思ってます(子供に被らせることの義務化は賛成)。本人で判断すべき問題です。自転車利用者の安全のために検討すべきは、ヘルメットの義務付けではなくて、ヘルメットを被らないと危ない道路の状況だろうと思います」

警察庁からは、自転車関連の交通事故においてヘルメット非着用時の致死率は、着用時の約2.6倍高いというデータも発表されている。罰則適用については、今後、さらなる議論が繰り広げられそうだ。


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Forbes JAPAN Web編集部

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