一方、広島G7は中国やロシアとの競争関係を意識し、グローバルサウスなどとの連携を重視して様々な国を招待した。広島G7の首脳コミュニケの前文には「民主主義」という言葉がなかった。これは、G7サミットでは極めて異例のことだ。民主主義という言葉を嫌うグローバルサウスの国もいることを意識した結果だろう。
オーストラリアやインド、韓国、ベトナムなどのVIPにもホテルを手当てしなければならない。例えば、韓国代表団の場合、当初は広島県庁前にあるリーガロイヤルホテル広島も検討の対象になったという。スイートルームが広くて交通の便も良いからだ。ただ、リーガロイヤルにはインドネシアやベトナムなどが宿泊し、韓国はシェラトングランドホテル広島に落ち着いた。関係者の1人は「広さを採るか、新しさを採るか、はたまた海外的な知名度を採るか、という好みの問題だった」と語る。
では、サプライズの演出だったゼレンスキー大統領はどうしていたのだろうか。ゼレンスキー氏の訪日は極秘事項だったため、外務省のサミット準備にあたった事務局でも、訪日プロジェクトを知っていたのは4人だけだったそうだ。スイートルームや食事、エレベーターの確保なども極秘に準備されていた。事務局全体に訪日が知らされたのは、発表の数時間前だったという。
広島G7サミット成功の舞台裏には、ホテルマンや警察官、広島県庁や市など、様々な人たちの献身的な努力があった。
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