働き方

2023.07.13 17:00

場をつくり「窮屈なTシャツ」を着替えさせる

青木耕平 クラシコム|共同創業者兼CEO

青木耕平 クラシコム|共同創業者兼CEO

個人のアイデアや強い思いを源として創業され、発展する企業がある。ECサイト「北欧、暮らしの道具店」を運営するクラシコムもそのひとつだ。

一貫した世界観を醸成し、顧客の強い共感を得ることで成長を続けるクラシコムは、創業16年目の2022年8月に東証グロース市場へ株式を上場。

その代表の青木耕平が「とても共感した」と話すのが「ソース原理」の考え方だ。青木に聞く、個人やチームの創造性を生かし、アイデアを実現していく組織づくりとは。インタビューの一部抜粋をお届けする。


──青木さんが、ご自身の経営スタイルを説明するとき、「ソース原理」を使うとわかりやすいと言っておられたと聞きました。

僕のような経営の流派は体系的に説明されてないと感じてきました。体系的な説明がないので「あなたが特別だからできている」とされ、再現性や持続性という観点の評価はあまり高くならない。ソース原理を知って「これで体系化された」と感じたんです。新しい真理に触れたというよりは、「そうだよね」という感覚です。

事業も人も自然に成長を要求する

──クラシコムは元お客さんだった社員が約8割ということですが、クリエイティブ・フィールド(創造の場)がお客さんにまで広がっているイメージでしょうか。

そうです。真ん中にクラシコムという会社で働く人がいる、同心円状の生態系なんです。お客さんがクラシコムの一員になろうとしてくれるのは、真ん中がいちばん幸せそうだから。真ん中にコミットするほど不幸になっていくのが見えれば、何の求心力もない。真ん中を最も幸せそうにすることが、クリエイティブ・フィールドのパワーを最大化していくうえで絶対に欠かせない取り組みだと思います。

僕の役割は、そういった奇跡的に成立している生態系の美しさを守る仕事です。遠くに目標をもって、そこに向かっているわけではない。ここ8年で売り上げが10倍ほどに伸びていますが、10倍にしようとか、IPOしようなどとはまったく考えていませんでした。このメンバーといまのお客さんで「いい感じで行きたいよね」「幸せになりたいよね」と思ってやってきました。

うちに応募してくるのは、自分のビジョンとクラシコムのビジョンのオーバーラップがある人です。そのなかから、のびのびやっても全体ソースの境界線内に収まりそうな人を採用していることがまず第一歩としてあります。ほとんどの社員がポテンシャル採用なので、時間がかかることは前提になります。
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インタビュー=山田裕嗣 構成=ひらばやしふさこ 写真=若原瑞昌

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