働き方

2023.07.13 17:00

場をつくり「窮屈なTシャツ」を着替えさせる

──クラシコムでは、マネジャー以上の方々が、青木さんのつくられた世界に主観で共感したものを、主観として下に伝えることが、時間をかけながらもできているのがすごいと感じます。

そもそも根源的な欲求として、自分の美意識のなかで最も美しい自分になりたいというのがあると思うんです。自分の美意識に監督させているわけだから、手を抜くという選択肢はない。手を抜いてしまうとしたら、なにかしらの阻害要因があるのだと思います。採用のミスマッチがあって自分の美意識からすれば恥ずべきことをするように求められているとか、達成不可能としか思えない目標を与えられているとか。

だから、採用にはとても気をつけていますし、ロールが大きすぎたら、適切なサイズにスモールチェンジします。上司と部下のコミュニケーションのなかで、より大きなロールを目指すようにモチベートすることは勧めていませんね。「お前は何をやりたいんだ」みたいなことも言いません。生物の成長と一緒で、同じTシャツを着ていたら小さくなってしまいます。だから「なんか窮屈そうだな」と思ったら、「窮屈じゃないのか?着替えるか?」と声をかける。「やりたい」などという気持ちさえ必要ありません。

会社も生物だから、放っておいたら事業が成長を要求する。阻害要因を取り除ければ、あるところまでは成長する。うちはすぐにTシャツが小さくなってしまうのを着替えさせていくことしかやっていません。ただ、「健やかであろう」という意思、そのための素材を充実させ、クリエイティブ・フィールドの状態を整えることへの意思は強くもっています。


青木耕平◎1972年生まれ。2006年、実妹である佐藤友子とクラシコムを共同創業。07年より北欧ビンテージ雑貨をEC販売する「北欧、暮らしの道具店」を開業。現在ではライフカルチャープラットフォームとして、さまざまな商品を取り扱いながら、日々の暮らしに関するコラムや映像を制作・配信するとともに、企業へのマーケティング支援などを行う。

インタビュー=山田裕嗣 構成=ひらばやしふさこ 写真=若原瑞昌

この記事は 「Forbes JAPAN 「 最高の働き方」を探せ!CREATE THE WAY YOU WORK」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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