4. メタバース終焉の噂は大きく誇張されている
メタバースは、消費者が製品について知り、体験するための新しい体験や機会を提供し続けています。NFT価格の暴落、暗号資産の低迷、Meta(旧Facebook)がAI技術に軸足を置こうとしている、などの悲観的な空気が広がっているものの、一部のブランドではメタバースを巡る盛り上がりや動きが続いています。・Gustafson氏によると、メタバースには1日平均6000万人のユーザーが存在し、その半数以上が13歳以下であるといい、メタバースに精通したこの層を早期に獲得することは、これらのユーザーが年齢を重ね、将来的な可処分所得の増加において、大きなビジネスチャンスになるとしています。
・衣料品ブランドのPacSunは、ティーンエイジャーがゲームのRoblox内でバーチャル服に13ドルを費やすことを厭わず、そうした中に収益機会を見出しているといいます。同社の見解では、メタバースはモールではなく、エンゲージメント手段の一つであり、ショッピングはZ世代の消費者にとってエンターテイメントの一つの形であると説明しました。
PacSunは、PacSun Los Angeles TycoonゲームなどのRoblox上で存在感を発揮している
出典:企業ウェブサイト
・Unileverは、メタバースをコマースの機会としてではなく、消費者と学び、つながるための機会として活用していることを紹介しました。
・Ahold Delhaizeのある幹部は、現時点では食料品分野にはメタバースを活かす機会を見いだせていないことを説明しました。しかし一方で、AR(拡張現実)などの関連技術は、消費者に店内のパーソナライズサービスを提供できることを強調しました。
5. Web3テクノロジーはサプライチェーンマネジメントを強化する
Shoptalk USとShoptalk Europeの両方で、Coresight ResearchのCEO兼創設者であるDeborah Weinswig氏が、Web3(Web 3またはWeb 3.0と呼ばれることもある)とサプライチェーンに関する講演を行いました。Web3技術を活用したインテリジェントでコネクテッドなサプライチェーンについて説明するWeinswig氏
出典:Shoptalk Europe
Coresight Researchは2019年に、原材料の調達から製造、倉庫、ラストワンマイルに至るまで、あらゆる段階でテクノロジーによって強化された現代のサプライチェーンをイメージしてきました。その中にはAIやWeb3の影響なども含まれ、グローバルサプライチェーンについて詳しく解説してきています。
Web3とは、インターネットの第3のバージョンのことで、読むだけのWeb1.0から読み書きのできるWeb2.0、そして自動での読み書きへと進化したものを指します。なお、Web3の特徴は、コンテンツとデータの分散型所有にあります。
消費者需要の変動や サステナビリティへの要求など、サプライチェーンにおける現在の課題は、トレーサビリティ、可視性、品質、コンプライアンスといったグローバルな問題や、融通の利かない製造、複雑な物流ネットワークなど、サプライチェーンの制約をさらに悪化させています。
Weinswig氏は、Web3がこれらの課題にどのように対処し、インテリジェントで接続されたサプライチェーンの構築による利点を促進することができるかを解説しました。
その利点として、製品設計のスピードアップ、正確な需要予測、ラストワンマイルのスピードアップなどを挙げ、3DLOOK、Digital Wave Technology、Dropit、IBM、Impact Analytics、Lectra、Nfinite、Prevedere、SoftWear Automationなど、小売企業のサプライチェーン管理強化を支援する主要なイノベーターについて取り上げました。