2. 多岐にわたるAIや関連テクノロジーに関する議論
ChatGPTをめぐる最近の盛り上がり以外にも、AIテクノロジーは今日、他の小売企業のアプリケーションにも広く浸透しています。Googleは、2016年にAIの将来の可能性を認識し、それ以来このテクノロジーに携わってきたことを強調しました。現在GoogleがAIを活用している製品には、「Magic Eraser」(写真内に写っている人を消すことができる)や道案内プラットフォームの「Waze」などがあります。
Shoptalk USとShoptalk Europeのディスカッションでは、GPT以外にも以下のようなテクノロジーが取り上げられました:
・パーソナライゼーションのためのコンピュータービジョン:今日、様々な小売企業やテクノロジー企業が、コンピュータービジョンとAIを組み合わせて活用しています。Pinterestは、この2つの技術を使用して、消費者にコーディネートを提案したり(例えば、「このハンドバッグはこのドレスに合う」など)、アイテムの特定を行ったり(例えば、Taylor Swiftがコンサートで履いていた靴を95%の精度で特定するなど)しています。
Poshmarkは、AIが同社のソーシャルコマースプラットフォームに組み込むことで、同じようなスタイルの消費者同士を結びつけることができたり、メールエンジンが疑わしいものや不正なものを検出したりするだけでなく、顧客からの問い合わせを、MLアルゴリズムで回答できるものと人間の対応を必要とするものを判断し、選別できることを説明しました。
・サプライチェーン:ホームインプルーブメント企業のLowe'sは、サプライチェーンに予測機能と拡張性をもたらすことができるAIモデルの活用について説明しました。Nordstromは、サプライチェーンにおける自動化とMLの活用、特に返品処理、商品の玄関先までのルーティング、時間・価格・コストの最適化について、数多くの活用機会があることを挙げました。
食品小売企業のSonae MCとAhold Delhaizeは、自社の事業でロボット工学をテストした際の成功と課題を挙げました。(テクノロジーを駆使したサプライチェーンについては、本稿の後半を参照してください。)
・従業員のエンパワーメント:Lowe'sは、最適化とイベント駆動型のマイクロサービスベースのテクノロジープラットフォームを使用して業務効率を上げることの利点、および大切な従業員の時間を有効活用するためのモバイルデバイスについて説明しました。Krogerは、AIベースのパーソナライゼーションを従業員のトレーニングに使用し、従業員を単調な作業から解放し、経験を向上させることについて説明しました。
米国のファストカジュアルレストランチェーンのPanera Breadは、Amazon Oneの生体認証ハンドスキャン技術をテスト導入しています。これにより、顧客の素早い本人確認ができるため、従業員はロイヤルティ情報やお気に入り商品にアクセスでき、従業員のちょっとしたストレス軽減につながっていることを説明しました。
Paneraの店舗 Amazon Oneを使って支払いする様子
出典:Amazon