スタートアップ

2023.07.12 10:00

日本郵政が「郵便局の原点」を胸に鹿児島発「循環商社」と組む理由

最終処分場の問題も切実です。環境省によると残余年数は21.4 年(※1)となっており、いずれ処分先がなくなります。また、廃棄関連の法律は、50年以上前の昭和45年(1970年)に公布された「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」がベースとなっており、近いうちに時代に合わせた規制の変更も必要になると思っています。

フランスでは数年前に「資源の循環と廃棄物の削減を目指した循環経済に関する法律」(※2)が公布され「衣類が安易に捨てられない」状況になっています。これから先、追従する国も増えるでしょうし、ECOMMITの役割もさらに重要になってくると思います。

大量廃棄がなくならず、最終処分場の残余年数がゼロに近づき、世界的な流れからも日本が遅れをとる……そうじゃない未来のために、個人や法人を問わず、出来るだけ多くの人が参加できる仕組みとカルチャーをつくり、未来を変えていきたい。そのためには1社の力では到底足りないし、間に合わない。郵便局を始め、業界の垣根を超えて様々な企業、自治体との連携を加速し、この課題に挑んでいきます。

日本郵政 JP未来戦略ラボ 安部:設置した回収ボックスは想定以上にご利用いただいています。既存の物流網を活用して、郵便局の来局動機に「衣類回収」という項目を確立できれば、未来に向けた新たな店舗価値の一つとなると考えています。

ECOMMIT 山川:郵便局に実際に行く機会は減ってしまいましたが、私たちの意識には、強く郵便局という存在があります。この取り組みを通して、また人々が「今日は郵便局に行きたい」と思える未来があって、PASSTOに限らず郵便局の元来の目的のように、そこで誰かが未来を思うアクションができたらなら、本当に素敵なことだなと思います。

ECOMMIT 山川 咲

ECOMMIT 山川 咲


日本郵政 JP未来戦略ラボ 安部:冒頭でバックキャストのお話をしましたが、JP未来戦略ラボのプロジェクトの実行にあたってはアジャイル(問題や課題を小分けにして素早く実行・検証する手法)を取り入れています。日本郵政グループのリソース、ネットワークをフル活用して今回の取り組みを更に推進したいと思っています。

日本郵政 安部 耕太

日本郵政 安部 耕太


日本郵政グループには150年超の歴史がありますが、郵便・貯金・保険と展開してきた歴史はイノベーションのかたまりでもあると思います。ECOMMIT社の提携が同じようなイノベーションを起こすはじまりとなるよう取り組んでいきます。

あとがき


今回のインタビューで思い出したことが二つあった。一つ目は、京セラの創業者、稲盛和夫の言葉「人生・仕事の結果=考え方×熱意×能力」(※3)。ECOMMIT社が複数の提携先の候補からJP未来戦略ラボを選んだ決め手は、メンバーの「熱意」だった。

二つ目はビジョナリー・カンパニーに出てくる「第5水準の経営者」(※4)。ECOMMIT社の川野CEOが話す姿に、第5水準の経営者と重なるものを感じたからだ。第5水準の経営者とは「個人としての謙虚と職業人としての意思の強さという矛盾した性格の組み合わせによって、偉大さを持続できる企業を作り上げる」と同書には書かれている。

ECOMMIT社とJP未来戦略ラボが実現しようとしている循環のバリューチェーンの動力源は、「熱意と意思の強さと謙虚さ」という「人の力」であったことが印象深かった。

(※1)
一般廃棄物の排出及び処理状況等(令和元年度)について ~環境省
https://www.env.go.jp/press/109290.html

(※2)
資源の循環と廃棄物の削減を目指した循環経済に関する法律
事例 フランスのファッション業界の取組 ~消費者庁
https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_research/white_paper/2022/white_paper_example_13.html

(※3)
人生・仕事の結果=考え方×熱意×能力 ~京セラ 稲盛和夫 オフィシャルサイト
https://www.kyocera.co.jp/inamori/about/thinker/philosophy/words43.html

(※4)
ジム・コリンズ. ビジョナリー・カンパニー ― 時代を超える生存の原則.日経BP, 1995
https://bookplus.nikkei.com/atcl/catalog/95/P48430/



日本郵政 JP未来戦略ラボ
部長 安部 耕太 
グループリーダー 石井 雄飛 
グループリーダー 築地 哲平 

ECOMMIT社
代表取締役CEO 川野 輝之 
取締役CBO(Chief Branding Officer) 山川 咲 

※本稿は日本郵政キャピタルのホームページに掲載された記事「2030年を見据えた大量生産・消費モデルからの転換を促すプラットフォームを目指して」を一部編集したものである。



曽根康司(そね・こうじ インタビュアー)
◎EXIDEA取締役/CPO(Chief Product Officer)。慶應義塾大学大学院経営管理研究科修士課程EMBAプログラム修了(MBA)。時計店経営・バイヤーからインターネット業界に飛び込む。アマゾンジャパン、ヤフー、キャリアインデックスを経て、2022年7月よりEXIDEAにジョイン。「焼肉探究集団ヤキニクエスト」メンバーでもあり、全国数百件の焼肉店を食べ歩いている。

文=曽根康司 編集=石井節子

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