noteを書くことは、当初はある種の苦痛が伴いましたが、面接に来た方がnoteを読んでくださったりしていて、発信がポジティブな共感を与えていると分かると、我々の取り組みへ参画するハードルを下げていることが実感できるようになりました。
苦労という点では、事業のマネジメント変数が多いというのがあります。リサイクル業というのは、運送業の要素もあり、物流コストの影響を受けます。積載率が高くないといけません。また衣料においては、キログラムあたりの単価が高いほうが、事業の健全性が高まります。そして、保管が発生するということはインベントリターン(在庫回転率)の概念も出てくるわけです。
そして、ECOMMITでは、回収した物を仕分けして、販売先を決めていますが、最も付加価値の高い売り先の組み合わせを選ばなければなりません。常に変数との闘いです。
日本郵政 JP未来戦略ラボ 築地:JP未来戦略ラボの立場から補足すると、生活者の視点で衣料回収のハードルを下げるための、仮説立てと検証を行っています。
大きなところだと、都市生活者と郊外型生活者に対するアプローチです。今回、最初に東京・渋谷の郵便局と、千葉・流山の郵便局に回収ボックスを置いたのはそのような理由があります。
今回の取り組みは、生活者に合わせた設計をしないとインフラとして機能しないと考えており、初動のデータでは仮説通りの結果が出ています。
これからのECOMMITとJP未来戦略ラボの行き先
──:すでに成果も出ているとおもいますが、これからのECOMMITとJP未来戦略ラボが向かう先について、どのようにお考えですか?
ECOMMIT 川野:地球の資源には限りがあります。私たちが目指す、廃棄を減らし、捨てない社会をかなえることの先に、天然資源の利用を抑え、この地球を維持するという未来を描いています。手紙に載せた思いを運んできた郵便局が、未来を繋ぐ資源を運んでいると思うと、本当に望んできた未来が近づいてきている気がします。
おかげさまで、お声がけいただく企業の数も増えてきました。
今後はさらに回収できる品目の拡大や、それに伴うデータの取得、トレーサビリティによる循環の「見える化」を強化していきたいです。
新品の材料に比べ、再生資源は安定供給に欠ける点があります。サプライチェーンにつながっていく資源回収のデータの精度が上がれば、再生資源のポテンシャルが更に上がると思っています。
自治体を取り巻く環境も大きく変わってきており、危機感が高まって来ています。物の廃棄には焼却が必要ですが、焼却のコストは税金でまかなわれています。人口減少局面においては、物の廃棄も減りますが、一人当たりのコスト負担が逆に上がる傾向にあります。