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2023.06.24

農業用ドローンの米ガーディアン社が2000万ドルを調達

(C)Guardian Agriculture

農業用ドローンメーカー「ガーディアン・アグリカルチャー(Guardian Agriculture)」の創業者でCEOのアダム・ベルク(Adam Bercu)は、新たに調達した2000万ドル(約28億円)がどのように役立つかインタビューで尋ねられ「生産を加速させるのに欠かせないものだ」と述べた。

ボストンに本拠を置くガーディアン社は6月30日、Fall Line Capitalが主導したシリーズAラウンドで2000万ドルを調達したと発表した。ベルクは、このラウンドの参加者について「すばらしい投資家連合」と表現した。

「ガーディアン社は、航空機グレードのエンジニアリングと製造技術でドローンを開発した最初の企業であり、信頼性とパフォーマンスを格段に向上させた」とFall Line Capitalのマネージングディレクターであるクレイ・ミッチェルは声明の中で述べた。

2017年に設立されたガーディアン社は、農薬散布用の自律型eVTOL(電動垂直離着陸機)「SC1」を製造している。SC1は幅15フィート(約4.6メートル)、満載時の重量は600ポンド(約272キログラム)で、バッテリーパックの重量は100ポンドとなっている。ベルクによると、20ガロン(約76リットル)の農薬を搭載することができ、散布量と飛行速度に応じて10~20エーカー(約4万〜8万平方メートル)の農地をカバーすることができるという。

「最適な種類と量の農薬を最適なタイミングで散布し、農家の労力を軽減することができる」とベルクは話す。ガーディアン社が新たな資金を調達したのは、米連邦航空局(FAA)から全米での商用運行許可を得てからわずか2カ月後というタイミングだった。

同社は今夏、米国で最大規模の農薬散布フリートを運営するウィルバー・エリス(Wilbur-Ellis)を支援するため、商業オペレーションを開始する予定だ。ウィルバー・エリスでサプライヤー・リレーションズ担当副社長を務めるウィリー・ネグローニは、声明の中で次のように述べた。「FAAの認可を取得したことにより、ガーディアン社は農業の改善を図る上でユニークな企業となった。同社製のSC1は、我々にとって信頼性と費用対効果が高く、持続可能な初めてのソリューションだ。我々は同社の技術とチームを高く評価しており、同社への出資を行った」

農業の人手不足を改善

ガーディアン社によると、受注額はすでに1億ドル(約140億円)に達したという。農業用に自律型ドローンを用いるメリットは、従来の手法に比べて安全な上、コストを軽減でき人手不足の問題にも対処できることにある。

安全性の向上については、2つの側面がある。まず、人間が毒性の強い農薬にさらされるのを防ぐことができる。また、農薬の散布量をより適切に管理することができる。

「農薬メーカーが販売する製品はどれも非常に強力だ。それだけに、その使い方には大きな責任がともなう。無人ドローンを使って散布することは、これまでのやり方を一変させることになる」とベルクは話す。

ベルクは、家族がマイアミで経営する航空ビジネスに何年も携わる中で、農薬散布の危険性を学んだ。彼は、複数のロボット格闘大会で優勝した経験を通じて電気モーターに関する技術を磨き、2017年にマサチューセッツ州ウーバンでガーディアン社を設立した。

彼は事業拡大に必要な資金を手に入れ、会社をさらに飛躍させたいと考えている。「我々は、このすばらしいチャンスをものにしたいと考えている」と彼は語った。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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