健康

2023.06.22 10:30

米国人のうつ病診断率はほぼ2割 最も深刻な州は?

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米国で、2020年時点でうつ病の診断を受けたことがある成人の割合がほぼ2割に上ることが、米疾病対策センター(CDC)の調査結果から明らかになった。一部の州や郡では、診断率がさらに高かった。

CDCは15日、2020年に米国の全50州とコロンビア特別区(首都ワシントン)に住む4万人を対象に実施したアンケート調査の結果を発表。医療機関からうつ病の診断を受けたことがあると回答した人は18.4%に上った。

中でもアパラチア地域とミシシッピバレー南部地域の診断率は高く、上位4州は上からウェストバージニア(27.5%)、ケンタッキー(25%)、テネシー(24.4%)、アーカンソー(24.2%)となった。5~10位は、バーモント(24.2%)、アラバマ(23.8%)、ルイジアナ(23.8%)、ワシントン(州、23.5%)、ミズーリ(23.4%)、モンタナ(23.4%)となっている。

うつ病の診断率が最も低かった5州はハワイ(12.7%)、カリフォルニア(13.9%)、フロリダ(14.9%)、イリノイ(15%)、ニュージャージー(15.6%)だった。

診断率の地域差は郡単位ではさらに激しく、最も低かったアラスカ州アリューシャンズイースト郡が10.7%だったのに対し、最も高かったウェストバージニア州ローガン郡では31.9%に上った。いずれも、地方部にある小規模な郡だ。

診断率は女性(24%)が男性(13.3%)より高かった。年齢別では若者の診断率が高い傾向にあり、18~24歳が21.5%だったのに対し、65歳以上では14.2%だった。

CDCは、診断率に地域差が生じている理由として、各州・郡での医療体制や経済状況といった「社会的な健康決定要因の影響」があると説明している。

先月には、米調査会社ギャラップからも同様の調査結果が発表されていた。同社の調査では、現在うつ病を発症していたり、うつ病の治療を受けていたりする米国人の割合が約17.8%と、同社が調査を開始した2015年以降で最高に達した。また、過去にうつ病の診断を受けたことがある米国の成人は29%で、2015年から10ポイント近く上昇して過去最高を記録した。

うつ病増加の多くは、新型コロナウイルス流行の影響によるものとみられている。ギャラップのデータによると、米国でのうつ病の診断率は以前から徐々に増加していたが、コロナ流行の開始に伴い「顕著」に増加。具体的な要因として、メンタルヘルス支援サービスに生じた混乱や、薬物乱用の増加、医療機関などでコロナ対応の最前線に立っていた人々の心理的疲労が挙げられる。

世界保健機関(WHO)によると、コロナのパンデミック(世界的大流行)発生から1年で、世界の不安症・うつ病は25%増加した。WHOは、その主な要因の1つとして、孤立によるストレスを挙げている。

forbes.com 原文

翻訳・編集=遠藤宗生

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