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2023.03.31 09:00

アジアで未開拓のメンタルヘルス市場、資金流入が活発化

Getty Images

シンガポールに拠点を置くメンタルヘルスのスタートアップThoughtFull(ソートフル)は3月23日、政府系ファンドのテマセク傘下のヘルケア企業Sheares Healthcare Groupが主導したプレシリーズAラウンドで400万ドル(約5億2000万円)を調達したと発表した。

このラウンドには、既存投資家のHive Southeast AsiaやVulpes Investment Managementに加え、スーパーアプリのGrabやEコマースサイトZaloraなどの東南アジアの巨大テック企業の創業メンバーらが参加した。

Sheares HealthcareのKhoo Ee Ping最高事業開発責任者は声明で、「ThoughtFullは、今日のメンタルヘルス分野のギャップを埋めるための有意義なステップを踏んでいる。当社はパートナーになれたことを嬉しく思っている」と述べた。

Shearesは以前、シンガポールを拠点とする高齢者介護サービスプロバイダーHomageの3000万ドルのシリーズCラウンドを主導していた。同社がアジアのメンタルヘルス関連の企業に投資を行うのは、これが初めてだ。

ThoughtFullは、訓練されたメンタルヘルス専門家からのサポートをアプリを通じて得られるサービスで、個人向けの月額サブスクリプション費用は6カ月契約で月額169シンガポールドル(約1万6700円)から。アジア全域の57カ所で専門家のネットワークを構築しており、新たな資金を事業拡大や製品開発などに充てる予定という。

保険会社との提携を通じても事業拡大を図っており、昨年12月には香港の富豪、李沢楷(Richard Li)の保険会社FWD Insuranceと提携。マレーシアでは、昨年5月にAIAと提携し、企業向けのメンタルヘルスのサポートを開始した。

世界保健機関(WHO)の3月の発表によると、新型コロナウイルスのパンデミックの影響で、世界のうつ病や不安神経症の患者は25%増加した。しかしアジアでは、メンタルヘルスの問題が個人の弱さや恥と見なされる傾向が強いため、適切なケアが受けられない人が数多く存在する。

一方で、ここ最近、アジアのメンタルヘルス関連企業は投資家の関心を集めている。3月上旬にシンガポールを拠点とするIntellect(インテレクト)は、アジア最大の民間医療企業であるIHHヘルスケアから非公開の金額の出資を獲得した。

さらに、シンガポールとジャカルタを拠点とするスタートアップのAmiは、昨年5月に米メタの新製品実験チーム(NPE)を含む投資家から300万ドルのシード資金を調達した。フェイスブックを運営するメタが、アジア太平洋地域のスタートアップに投資を行うのは、これが初めてのことだった。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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