その通りです。企業のコンテンツの中には、重要で価値のある情報が含まれています。それは、契約書やプロジェクトについての詳細かもしれません。プロジェクト文書の中にあるもの。あるいは、重要なビジネス戦略の情報かもしれません。このような非構造化データをファイルとして保存し、AIプログラムによってそのデータと“対話”したり、“質問”したり、重要な情報を抽出したりできるようになるのです。これはとても強力なことだと思います。
仮にBox AIを使った場合、企業のユースケースの一つに、大量の非構造化データがあります。例えば履歴書のワード文書があるとしましょう。このファイルの中に多くの重要なデータがあるのです。まず、電子メールアドレスがあります。それに、電話番号や住所、学歴など。歴史的に見ても、こうしたデータを自動的に抽出する簡単な方法はありませんでした。でもBox AIで「メタデータ、名前、電子メールアドレスを抽出してください」と言えば、即座に価値の高いデータを抽出できるようになります。
どんなユースケースにでも使えることがおわかりでしょう。履歴書だけではなく、請求書や契約書など、AIに情報全体を読ませて、その内容から重要な詳細を引き出せます。信じられないほど強力なものです。これこそが、このテクノロジーの未来のかたちだと私たちは確信しています。
──Boxは「ベスト・オブ・ブリード」戦略を追求してきました。ただ、AIを使ってコンテンツを活用するサービスは、同じようにコンテンツ管理サービスを提供するマイクロソフトやグーグル、あるいはセールスフォースと競合することを意味します。実際、いずれも自社サービスに AI機能を搭載しています。リード(見込み顧客)を探り当てる機能などは、セールスフォースのような顧客管理プラットフォームとの“衝突”待ったなしのように思えますが。
どちらかといえば、それらの企業と提携することがほとんどでしょう。セールスフォースやマイクロソフト、アマゾンなどのテクノロジー企業と競合することは、あまり考えていませんよ。それよりも、データを使ってAIと連携する強力なパートナーになることに重点を置いています。
──創業以来、Boxはファイルストレージ企業からファイル共有企業、クラウドベース・コラボレーション企業、コンテンツマネジメント企業というように、一般的なユーザーからの見えかたも変わってきたように思えます。AI新時代では、自社をどのように位置づけて他社と差別化したいとお考えですか?
企業データの80%は非構造化データです。この非構造化データを管理する場所として、Boxが地球上で最も優れた場所の一つであると確信しています。契約書、マーケティング資産、請求書、履歴書など、あらゆるものがそうです。AIを使えば、そのようなデータや情報に対して“質問”できるようになります。私たちは、これがデータ活用のブレークスルーになると確信していますし、Boxはそのようなデータ活用に最適な場所の一つです。