経営・戦略

2023.06.15 07:15

課金されなくても黒字化、メンタル弱め社長のアプリビジネス

リリースベース(松村)

bondavi公式ホームページより

三日坊主の克服や根気を維持するためのアプリを開発するbondaviは、2023年1月から5月にかけてアプリの「課金されない率」が99.9パーセントを記録。ほぼまったく課金されないアプリを作り続けているわけですが、5月の累計ダウンロード数は500万を突破し、黒字経営になりました。そこには寄付だけで黒字になる、善意のアプリビジネスの形があります。

bondaviは、「筋金入りの三日坊主が作った」習慣化アプリ『継続する技術』、「すぐに怠ける社長が作った」集中アプリ『集中』など、タイトルからしてシンプルながら洗練されたアプリを5種類作っています。すべて無料でダウンロードでき、広告は一切入りません。アプリ内課金はあることにはありますが、どうでもいいものだけに限定されています。誰もが、なんの邪魔もなく100パーセント使えるようにという配慮です。『継続する技術』と『集中』は、ダウンロード数、App Store平均評価、App Store評価数のすべてで国内1位になっています。

bondavi代表でアプリ開発者の戸田大介氏は、進研ゼミは1カ月続かない、建築家のドラマに憧れて工業高校に入るも2カ月で飽き、「隙あらば怠ける」性格で、ユーザーからのメールで100件中1件だけ厳しいことを言われただけで心が折れるほどメンタルが弱く、計画性がないと自認する人物です。しかし「なんかクリエイティブで楽しそう、という浅はかな理由」で入った広告会社でデータ分析を任されたことが転機になりました。「人間のリアルな心理」を目にして「人間の弱さへの理解」を高め、それを活かしたアプリ開発を始めたのです。

「うざい」、「面倒」、「不便」、「きもい」などネット上の厳しい言葉を「ぴよぴよ」に置き換えて弱いメンタルを保護してくれるChrome拡張機能『ひよこフィルター』も、bondaviの理念を象徴しています。

広告なし、課金なしと、ユーザーを第一に考えていたら「清々しいほど儲かりません」と戸田氏。しかし、そうした姿勢が共感を呼び、寄付だけで黒字になるという善意のビジネスを実現させました。いいことをして、そこそこ食っていける、ひとつの理想の生き方ですね。

プレスリリース

文 = 金井哲夫

ForbesBrandVoice

人気記事