脳室回復への道
調査対象となった飛行士30人の宇宙滞在期間の内訳は、2週間が8人、6カ月間が10人、1年弱が4人だった。ミッションとミッションの間が3年以下だった宇宙飛行士7人は、脳室の大きさが正常な範囲に回復しなかったとみられる。このことから、完全回復には3年間の間隔が必要であることが示された。
米航空宇宙局(NASA)の宇宙飛行士、マーク・T・ヴァンデハイは、168日間の宇宙滞在から2018年2月18日に帰還し、ほぼ3年後の2021年4月9日、355日間のミッションへと再び旅立った。近年、300日以上宇宙で過ごしたNASA宇宙飛行士はほかに3人いる。
研究チームは、脳室拡大が宇宙滞在6カ月で収束するとしているが、1年後以降については何もわかっていない。「これが長期的に宇宙旅行者の健康や行動的健康に与える影響について、正確なことはわかっていません」とサイドラーは述べている。「このため、脳に回復するための時間を与えるのはよい考えだと思います」
2033年には、比較的短い570日間のミッションで火星と金星のフライバイ(接近飛行)を行える15年に1度のチャンスが訪れる。このミッションは、人間を長期間の宇宙飛行に送り出すために必要なステップとなりそうだ。
(forbes.com 原文)