米人権団体「米国自由人権協会(ACLU)」は、TikTokの禁止法案は検閲であり、同アプリの特別視は外国人嫌悪だとして批判。TikTokを禁止する取り組みに反対する請願書が出されている。
TikTokは現在、米国内のほぼ半数の州で政府端末での使用が禁止されている。モンタナ州は5月、同社がユーザーの個人情報を販売している懸念があるとして、TikTokの個人端末での使用を禁止。米国で同アプリを禁止したのは同州が初めて。グーグルとアップルは、同州でTikTokのダウンロードを許可した場合、最大1万ドル(約140万円)の罰金の対象となる。実際にどのようなかたちで施行されるかは明らかでないが、同法は来年1月1日に発効する予定。これに対しTikTokは、同法が「憲法修正第1条に反し、言論の自由を侵害」しており「違憲」であるとして、モンタナ州と同州司法長官を提訴した。
また、5月時点では、オーバーン大学、オクラホマ州立大学、テキサス大学オースティン校など、全米で大学30校以上が学校のWi-Fiネットワークを通じたTikTokへのアクセスを禁止している。
米国では、約1億5000万人がTikTokを使用している。アプリ分析サイトData.AIは昨年、消費者消費を促進するアプリとしてTikTokを世界第2位にランク付け、3番目に最もダウンロードされたアプリとした。
TikTokでの流行が売り上げやキャリアアップに貢献している中小企業のオーナーにとって、同アプリの使用禁止は顧客やブランド取引の機会の減少、従業員の解雇など、悪影響を及ぼす可能性がある。ゴールドマン・サックスは、クリエイター経済が2027年までに4800億ドル(約67兆円)規模に成長する見込みであると予測しているが、TikTokが禁止された場合、ソーシャルメディアを通じて大規模な事業を築いているクリエイターの収入が急落する可能性がある。
米国以外でも、各国はTikTokに対して独自に対処している。インドは、世界で初めてTikTokを含む中国製アプリを全面禁止した。オーストラリア、ベルギー、英国、カナダ、フランスと欧州連合は、それぞれの政府端末でTikTokの使用を禁止している。
(forbes.com 原文)