アジア

2023.06.06

中国共産党がTikTokから香港の政治活動家のデータ入手の疑い

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TikTokの親会社のバイトダンスの元幹部が法廷に提出した書類で、中国共産党の職員らがTikTokを利用する香港の民主化デモの活動家のデータにアクセスしたと主張している模様だ。6月5日のウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が報じた。

記事よると、2017年から2018年までバイトダンスの米国エンジニアリングチームを率い、同社のカリフォルニアオフィスに勤務していたYintao Yuは、5月に提出した不当解雇訴訟の一環として裁判所に提出した書類でこの主張を行ったという。

5日に明らかになったこの書類は、2018年に中国共産党が香港で政治活動家やデモ隊を含むユーザーのIPアドレス、SIMカードID、通信データにアクセスし収集したと主張している。

バイトダンスは、WSJに宛てた声明で不正行為を否定し「根拠のない主張と申し立て」と思われるものに反対していると述べ、Yuは解雇から5年が経過した後にこの問題を持ち出したと指摘した。

Yuの弁護士は、TikTokの周受資(ショウ・ジ・チュウ)CEOが3月に米議会で証言し、中国政府とのデータの共有を否定したことから、Yuが周CEOの主張に反論したいと考え、申し立てを行うことを決めたとWSJに語っている。

フォーブスはTikTokにコメントを求めたが、現時点で回答は得られていない。

Yuは2018年にTikTokから解雇されたが、彼は先月の別の提出書類で、自身の解雇理由が、バイトダンスが他社の知的財産を盗んで利益を得る計画について彼が懸念を示したからだと主張していた。彼はまた、バイトダンスの北京オフィスがTikTokのアプリを監視し、アプリを完全にオフにできるキルスイッチを所持する中国共産党のメンバーと交流していたと主張している。

3月に米国の議員らは、米国内のTikTokのデータが中国共産党によってアクセスされていることを繰り返し否定する周CEOに対し、強く疑問を投げかけた。専門家は、このアプリが国家安全保障に脅威を与え、米国人からデータを収集し、米国市民に見せる動画のレコメンドに影響を与える可能性を懸念している。

TikTokに対する懸念は、州レベルにも広がっている。モンタナ州は先月、データプライバシーに関する懸念からこのアプリを禁止したが、この動きにはTikTokと一部のユーザーから訴訟が起こされた。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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