北米

2023.06.08 15:00

バイナンスが米国から撤退の可能性、SECからの提訴で

バイナンス創業者のジャオ・チャンポン(Getty Images)

バイナンス創業者のジャオ・チャンポン(Getty Images)

世界最大の暗号資産取引所のバイナンスは、米証券取引委員会(SEC)の提訴を受けて、米国を離れることを余儀なくされるかもしれない。

ニューヨークの法律事務所Seward & Kisselのフィリップ・ムスタキは「バイナンスは米国を離れる可能性がある」と述べている。「彼らが米国でのすべての業務を停止し、米国の資本市場や投資家にアクセスしないことに同意すれば、SECとの争いの解決策を見出すことが容易になると考えられる」とムスタキは説明した。

SECは6月6日、バイナンスの米国の子会社のバイナンスUSの資産を凍結するようワシントンの連邦地方裁判所に要請した。同機関は、その前日の5日にバイナンスと創業者のジャオ・チャンポンを提訴し、彼らが投資家の資産を重大なリスクにさらしながら、数十億ドルの利益を得ていたと主張した

これに対し、バイナンスは「我々はこのような行為に失望しているが、法廷で自らを弁護することを楽しみにしている」と述べた。

調査企業Nansenのレポートによると、SECの提訴が発表されて以降に、投資家はバイナンスのグローバル取引所から約7億7900万ドル(約109億円)、バイナンスUSから1300万ドル相当の暗号資産を引き出している。

商品先物取引委員会(CFTC)は3月に、バイナンスが未登録の暗号資産の先物やその他のデリバティブ商品を米国民に提供したとしてバイナンスを提訴していた。3月に提出されたその訴状では、ジャオと同社の元最高コンプライアンス責任者のサミュエル・リムの名前も挙げられていた。

キプロスを拠点とする暗号資産ヘッジファンドARK36の会長のミッケル・モーチによると、SECからの新たな提訴はバイナンスにプレッシャーを与える可能性があるという。彼は、フォーブスと共有したコメントで「バイナンスは、多額の罰金や罰則、さらには米国での業務停止に直面する可能性がある」と指摘した。

弁護士事務所Ford O'Brien Landyのケビン・オブライアンは、SECがバイナンスに対して起こした告発が、11月に破綻した取引所のFTXに対して起こされたものと同じくらい深刻で「いくつかの点で類似している」と述べた。

「ただし、明確な理由は不明だが、バイナンスとジャオは、FTXとその創業者のサム・バンクマン=フリードのように刑事責任を問われていない。もちろん、後から刑事告発を受ける可能性もある」とオブライエンは続けた。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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