バイナンスコインは、SECが提訴を発表した後の1時間で5%近く下落した後、5日夕までに10%近く下落した。同社は3月にも、連邦商品先物取引委員会(CFTC)から提訴されている。
CoinGeckoのデータによると、BNBの価格は過去1週間で約12%下落、4月以降では18%以上下落している。
5日に急落した暗号資産はBNBのみではない。ビットコインは5.5%以上下落して2カ月ぶりの安値となる2万5620ドル、イーサも5%近く下落して1803ドル、ドージコインも8%以上下落して7セント弱をつけた。
SECは、バイナンスとその創設者の趙長鵬(ジャオ・チャンポン)が顧客の資金を不正に使用したと主張。趙が所有するシグマ・チェイン(Sigma Chain)という事業体に流用し、取引ボリュームを膨らませるために「操作的取引」を行ったとしている。
また訴状によると、バイナンスと趙は、米国の子会社について、独立した取引サイトだと主張していたが、実際には裏でコントロールしており、同社は一部の米国人顧客にバイナンスのメイン取引所の利用を許可していたとされる。趙はこの主張を否定し、この訴訟が「不当」で、暗号資産業界を標的にSECが続けている「見当違いの行動」の一例だと反論した。
ナスダックに上場している米国の大手取引所コインベースの株価も5日に約9%下落したが、それでも年初からは70%以上上昇している。
バイナンスは、ここ数カ月で多くの法的トラブルに直面している。CFTCは3月、CFTC未登録の暗号資産の先物やその他のデリバティブを米国民に提供したとして、バイナンスと趙を提訴した。
CFTCは、バイナンスの元最高コンプライアンス責任者であるサミュエル・リムが同社の米国法違反を幇助したとも主張した。
フォーブスは2月、バイナンスが2022年8月から12月にかけて、約18億ドルの顧客の資産を、顧客に知らせずにヘッジファンドに移動させていたと報じていた。この資産の移動は、昨年11月に破綻したFTXでの動きと酷似していた。
(forbes.com 原文)