ビジネス

2023.06.05

運用資産49兆円のオルタナ投資会社「アレス・マネジメント」の実力

Photo Illustration by Pavlo Gonchar/SOPA Images/LightRocket via Getty Images

「プライベートクレジット」の先駆者

レスラーは1997年に、アポロ・グローバル・マネジメントのクレジット部門としてアレスを共同設立したが、現在の同社の基盤は、アロウゲティと彼の同僚たちが2004年から2005年にかけて構築したプライベートクレジット事業にある。公開市場で取引されないプライベートクレジットは、今から20年前は異質な投資商品だった。

その当時の機関投資家は、投資銀行が銀行からの借り入れをまとめ、パッケージ化して流動性のあるファンドとして提供するリキッドクレジットファンドに投資していた。アレスは、中間業者を排除し、直接企業と取引し、彼らの財務ニーズに応じた融資を提供した。

アレスは融資先のリスク評価を行い、経営陣と面談して成長性や利益率、投下資本に対する高いリターンを確認する。2021年に投資会社トーマ・ブラボーがオンライン郵便サービスの「スタンプス・ドット・コム」を66億ドルで買収した際、同社はその資金を提供した。また、世界最大級のビール樽のリース会社マイクロスター・ロジスティクスは、アレスから十数年にわたり数億ドルの融資を受けている。

アレスのほとんどの投資商品には、借り手の資産を担保とする上位債権の変動金利ローンが含まれており、この安定性が、変化の激しい市場で同社の繁栄を支えている。アレスは2021年に770億ドル、2022年にさらに570億ドルを調達し、0.35%~1.5%とされるクレジットファンドの管理手数料収入は過去3年間で21億ドルに倍増した。

同社はまた、不動産やインフラ、プライベート・エクイティなどの分野でも1380億ドルの資産を運用している。この中には、企業再編に投資する55億ドルの「スペシャル・オポチュニティ・ファンド」が含まれており、かつて破産した通信会社のフロンティア・コミュニケーションズやレンタカーのハーツへの賭けで、2019年以降、このファンドは毎年25%のリターンを上げている。

同社はまたスポーツ、メディア、エンターテインメントに37億ドルを投資し、NHLのオタワ・セネターズやF1チームのマクラーレンを含む19社の負債または少数株を持っている。「これらは相関関係が低い資産で、希少価値がある。コンテンツの価値は高まっており、スポーツ中継ほどユニークなコンテンツはない」とアロゲッティは語った。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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